自動滴定装置の試作研究概要.pdfVIP

第6巻　第6号 153 自動滴定装置の試作研究概要 高　　橋　　武　　雄 って初めて試作され，現在市販されているものには， 　1．　緒　　　言 　化学定量分析において容量分析は重量分析に比して正 Co．，）が最も知られている。 確さにおいては多少劣っているけれども迅速簡単である ため広く用いられ，殊に工場において一日に数十乃至数 2　自動滴定装置の種類 百の試料について同種類の分析を行う場合には頗る重要 　自動滴定の終点を指示するのに指示薬の変色を光電比 な方法である。この容量分析は主として滴定法（Titra・ 色計によってピックアップする方法も従来2，3試みら tion　method）であって，定濃度の滴定液をビュレットか れたが（1），今日まで殆んど大多数の自動滴定装置は電位 ら試料液（滴定系）中に滴ドし，予め試料液中に入れてあ 滴定法を用いている。この電位自動滴定には二通りの方 る指示薬の変色によって滴定の終点を知る方法である。 法がある。 　この滴定法は1824年J．L．　Gay－Lussacが初めて酸・ア 　一つは定速度で滴定液を滴加しながら滴定系（試料液） ルカリの中和反応に用いたもので，次で1835年にはF． 中に挿入した指示電極（白金電極）と甘天電極との聞の Mohrによって過マソガソ酸カリによる酸化反応，1853 起電圧（電位）を自記式ポテソシナメーターを用いて記 年にはR．Bunsenによってヨードによる酸化反応に，そ録し，滴定曲線（電位一滴定液量）の攣曲点を終点とす れぞれ応用され，1874年更にJ．Volhardによってロダソ る方法（2）である。他は滴定が進んで終点になると指示電 酸アムモニウムによる銀及び塩素の定量にまで発展し 極の電位が終点に相当する電位となり自動的に滴加が停 た。また滴定終点を指示する指示薬の理論に関しては，　・ 止する方法である（3『10）。前者は手数が余り煩雑であるの F．W．　Ostwaldの研究（1892）が滴定法の発展に寄与す でもっぱら研究用として用いられているが，後者は装置 るところが多かった。 及び操作が簡単であって工場分析に適している。 　このようにして滴定法は一般の化学分析はもちろん， 　この自動滴定装置では滴定液の滴加停止方法として， 工場分析にも広く用いられ極めて重要な分析法となった。 普通のビュレットに電磁リレーまたはソレノイドをつけ 　滴定法における終点の指示を指示薬以外の方法で行う て行う方法と，注射器型ビュレットのピストソの駆動モ には，その後電気的方法が考案された。E．　Muellerによー’・5e　．一の電気回路の開閉による方法とがある。 る電位滴定，J．　M．　Kolthoffによ、る電導滴定が，それぞ 　電磁リレーまたはソレノイドを用いるものにはW．E． れ発明されたのは共に1920年のことである。その後， Titrator（5）などがある。例えば後者では滴定液を加減す 双金属電極滴定法（N．H．　Willard，1922），視覚的電導滴 るh71」コ・一ソゴム製弁（間隙2～5／1000吋）を電磁石で 定法（G．Jander＆E．　Manegold，1924），ポーラログラ