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平成24 年4 月21 日 明治大学雄辯部 新入生各位 法学部2 年 紙屋宏志 選挙制度 目次～table of contents～ 0．はじめに 1．選挙制度一般 2．海外の選挙制度と日本の選挙制度 3．日本の選挙制度の変遷～戦後から現在まで～ 4．現状の選挙制度の問題点～得票率と議席占有率の関係から～ 5．論点 6．参考文献・参考条文 0．はじめに 「議員定数削減」「一票の格差問題違憲」など昨今話題となっているように、選挙制度の再 考が要請されている。今回は民意を反映させる理想的な選挙制度を、国家の意思決定プロ セスで用いられる「多数決」の在り方を考えつつ議論していきたい。 １．選挙制度一般 選挙とは、投票により政治権力を行使する、議会や団体の代表者を選び出すこと。 国民主権を基本原理とする政治体制では、民意を正確に反映するための重要な制度である。 1－1 我が国の選挙は、以下の原則に基づいて行われる。 １．普通選挙‥憲法第15 条3 項 ２．平等選挙‥憲法第14 条・第44 条 ３．直接選挙‥憲法第93 条2 項 ４．秘密選挙‥憲法第15 条４項 1－2 選挙制度には選挙区定数による分類、代表制による分類がある。 選挙区制度―①小選挙区制度→多数代表制 ②大選挙区制度…単 記 制→少数代表制 制限連記制→少数代表制 完全連記制→多数代表制 代表制―――①少数代表制 ②多数代表制 ③比例代表制 どのように国民の中から代表者を選び出して国民の意思を国会に反映させるか、選挙区制 1 度と代表制の関係は、先の問題を考えるための前提である。 ＊選挙権と被選挙権 憲法第15 条による。 選挙権‥議員や首長の選挙に参加し投票できる権利。日本では国会議員や地方公共団体の 首長・議員の選挙権は20 歳以上の国民に与えられている。 主要先進国の選挙権は18 歳以上が中心である。 被選挙権‥選挙に立候補することができる権利。衆議院議員選挙は25 歳以上、参議院選挙 は30 歳以上の日本国民に与えられる。 1－3 選挙区とは 選挙において代議員を選出する単位として、有権者を一定の基準で区分けしたもの。 一定の基準とは、行政区画の面積や人口密度、住民構成、交通事情、地理的事情など国会 において決定する。 1－4 選挙制度の比較 民主主義実現のために選挙制度の改革は不可欠であることは前述。国民の意思を反映す る選挙制度を模索する前提として、代表的な選挙制度の比較を行う。 ①大選挙区制 ・中選挙区制 １つの選挙区から複数(2 人以上) を選び出す制度。 大選挙区は5 人以上選出 中選挙区は3～5 人選出 長所として、a.死票(落選者の得た票) が少なく、小政党も代表を出せ、新人が出馬し易い b.選挙干渉、情実、買収など不正が減少する。 c.選挙区の狭い利害にとらわれない国民の代表に相応しい人物を選べる。 d.有権者の意見が議会に公平に反映されやすい。 短所として、a.同じ政党の候補者の同士討ちが生まれ、政党本位の選挙になりにくい。 b.選挙費用が多くかかる。金権政治が行われる。 c.候補者と有権者との関係が薄くなり、選挙に関心を失いやすく棄権増える。 d.小党分立により政局が不安定になる。 e.補欠選挙や再選挙が行いにくい。 中選挙区制は日本独自の制度 2 ②小選挙区制 1 つの選挙区から1 人を選び出す制度。多数派の支持を受けた候補者が当選するので、 二大政党制になりやすい。 小選挙区制の2 つのタイプ‥α絶対多数式―有効投票数の過半数の獲得