日本障害者歯科学会认定医研修ガイドライン .doc

日本障害者歯科学会認定医研修ガイドライン 日本障害者歯科学会認定委員会編集 2005.7.23 はじめに 　このガイドラインは日本障害者歯科学会会員が同学会認定医を申請するための研修内容のガイドラインです．学会が認定した障害者歯科指導医ならびに障害者歯科臨床研修機関が，認定医を目指す歯科医師の指導指針を立案するとき，このガイドラインに記された内容を参考としてください．そして，ここに示した内容は障害者の認定医として必要な内容です．様々な専門領域の歯科医師でも，障害者歯科の認定医として理解いただきたい内容の項目です．ですから，これらの項目に含まれる各論については，各立場でカリキュラムを作成されることを前提としています． 研修ガイドラインの運用について 障害者歯科の専門性、特異性は、歯科医学以外に障害と障害者についての理解や認識が必要なことにあります。したがって障害者歯科の認定医としては、口腔内の問題と平行して、障害と障害者についての知識や認識が必要となります。このことは障害者歯科では基本であり、誰もが一定のレベルで理解する必要があると思います。 また、すべての領域について深く経験することは理想であっても、現実は難しいと思われます．そこで地域，大学，病院歯科，障害者施設の歯科，高齢者施設の歯科あるいは歯科麻酔や摂食，矯正などといった専門領域などの歯科医師が，自分の立場に応じた指導を受けられるようにするためのガイドラインと考えてください．そして，これらの内容のすべてを網羅するのは困難でも，障害者歯科の認定医として最小限知るべき事項については筆記試験にも反映されるため，臨床での経験や研修で周知していただきたいと思います． これらのガイドラインは，いくつかの障害者歯科の教科書に記されている程度の知識と，それを基にした臨床経験のなかで指導していただきたい内容です．ひとりの指導医では困難なところは，複数の指導医によって指導されてもよいと思います． さらに，認定医とは障害者歯科における臨床家としての認定ですから，何よりも臨床経験が大切で，知識はそれを裏付けるものです．ガイドラインに取りあげた内容はいずれも掘り下げればひとつ一つが専門性の高いものであり，認定としての知識や経験はそれぞれの立場にあった経験にとどまってよいと思われます．ですから指導医はこれらを考慮してガイドラインを参考に認定医を目指す歯科医師の指導，養成を行っていください． 日本障害者歯科学会認定委員会 目　　　次 Ⅰ　障害者施策の現状について Ⅱ　障害者への歯科医療提供について Ⅲ 障害の受容と家族への支援 Ⅳ　障害者歯科における医療面接と診察について Ⅴ　身体障害児?者の歯科治療 Ⅵ　知的障害児?者の歯科治療Ⅶ　精神障害児?者と歯科治療 Ⅷ 自閉症児?者の歯科治療 Ⅸ　障害者歯科の行動調整Ⅹ　口腔機能障害のリハビリテーションⅩⅠ　障害者歯科における医療安全と救急対策ⅩⅡ　障害者への歯科保健指導ⅩⅢ　予防歯科や歯科健診，継続管理の経験 ⅩⅣ　症例報告のまとめ方 Ⅰ　障害者施策の現状について 障害者の定義とＷＨＯの概念についてICFの考え方とかつての3つの要素との関係を知る．また，わが国の障害者の定義を理解する． 障害者基本法とその主旨　法に記されている障害者への基本的な考え方を理解する． ノーマライゼーションの理念とバリアフリーの考え方　ノーマライゼーションが誕生した背景を理解し，その本質を知る．また，わが国の　バリアフリーに対する考え方を知り，それぞれ歯科医療の現場との関連を考える． 障害者が医療を受けるための制度　一般医療，育成医療の制度を知る．障害者の医療費についても理解する． わが国の障害者福祉の制度　障害者の日常生活と社会生活を理解し，障害者自立支援法の趣旨を知る． わが国の障害児教育の制度　障害者のための義務教育と特別発達支援法を知る． 障害者施設の種類と機能　様々な障害者のための施設の存在を知り，地域との結びつきを考える． 　　指導のねらい　障害者福祉全般の理解を促す．国の障害者福祉施策や障害者基本法，障害者自立支援法などの関連法律の趣旨にも触れる．また，障害者(高齢障害者を含む)の生き方，地域との関わり，施設の概要，教育，就労，日常生活などを情報の集め方を含めて指導する． Ⅱ　障害者への歯科医療提供について 障害者歯科の基本的理念　障害者への歯科サービスに対する基本的な考え方を整理する． かかりつけ歯科で診る障害者歯科　地域歯科医療の中での障害者の受け入れにつ