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229肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性).doc
229 肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)
○ 概要
1. 概要
肺胞蛋白症(PAP)は1958年Rosenらにより記載され、我が国では1960年岡らによって紹介された稀少肺疾患である。肺胞蛋白症はサーファクタントの生成または分解過程に障害により肺胞腔内を主として末梢気腔内にサーファクタント由来物質である好酸性の顆粒状の蛋白様物質の異常貯留を来す疾患の総称である。このうち、指定難病は、自己免疫性PAPと先天性PAPである。
2.原因
自己免疫性PAPでは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に対する中和自己抗体が存在し、肺胞マクロファージ、好中球の機能障害が病態に関与する。先天性PAPとしてはsurfactant protein (SP)-B、SP-C、ATP-binding cassette A3 (ABCA3)遺伝子の異常やGM-CSFレセプターの遺伝子変異が報告されているが(遺伝性PAP)、遺伝子異常の証明されていないものも少なくない。続発性PAPは骨髄異形成症候群などの血液疾患、粉塵やガスの吸入、感染症、リジン尿性蛋白不耐症、ベーチェット病等で認められる。
3.症状
自己免疫性PAPの男女比は2:1、診断時年齢の中央値は男女ともに51歳であった。症状は労作時呼吸困難(40%)、咳(10%)、喀痰、体重減少、発熱など。約30%の患者は無症状である。画像所見の割に症状が比較的軽微であることが本疾患の特徴である。先天性は重篤な場合が多い。続発性ではPAPの呼吸器症状に加えて原疾患の症状が加わる。
4.治療法
自己免疫性PAPには、洗浄療法(全肺洗浄あるいは区域洗浄)が行われる。試験的治療法としてGM-CSFの吸入療法が試みられる。先天性PAPは、対症療法等行うも予後は不良である。続発性PAPでは基礎疾患の治療、洗浄療法が行われるが効果は現時点では未確定である。肺移植が実施され移植肺にPAPが再発した報告がある。ステロイドの効果は一般に期待されない。
5.予後
自己免疫性肺胞蛋白症の5年生存率は96%、10年生存率は88%であるが、患者はこの間繰り返し全肺洗浄等の治療を要する場合が多い。先天性肺胞蛋白症の予後は極めて悪い。また続発性肺胞蛋白症は自己免疫性肺胞蛋白症に比べて予後は悪い。
○ 要件の判定に必要な事項
患者数
約800人
発病の機構
不明(自己抗体が関与しているとされるが、発病機構の詳細は不明の点が多い。)
効果的な治療方法
未確立(根治させる治療は未確立である。)
長期の療養
必要(大多数の患者は繰り返し治療が必要である。)
診断基準
あり(研究班作成の診断基準あり)
重症度分類
重症度表を用いて管理区分重症度Ⅲ以上を対象とする。
○ 情報提供元
?肺胞蛋白症、遺伝性間質性肺疾患に関する研究:重症難治化要因とその克服?
研究代表者 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター、臨床研究センター長 井上義一
<診断基準>
肺胞蛋白症(PAP)(自己免疫性、先天性)の診断基準
A症状
症状は労作時呼吸困難(40%)、咳(10%)、喀痰、体重減少、発熱など。約30%の患者は無症状である。画像所見の割に症状が比較的軽微であることが本疾患の特徴である。続発性ではPAPの呼吸器症状に加えて原疾患の症状が加わる。先天性は重篤な場合が多い。
B検査所見(以下の所見は診断の参考になる)
血液?生化学的検査所見
血清KL-6、サーファクタントプロテイン(SP)-A、SP-D、LDH高値
画像検査所見
高分解能CT(HRCT)にて、以下の所見を認める。
主要所見
1.すりガラス様陰影、通常両側性
2.小葉内間質肥厚像および小葉間隔壁肥厚像
3.Crazy-paving pattern: 所見1と2の重なり合い
4.Consolidation
5.地図状分布 geographic distribution
6.Subpleural sparing
その他の所見
1. 牽引性気管支拡張像
2. 嚢胞
3. 蜂窩肺
(PAPほぼ確実) Crazy-paving pattern(3.)が主体でこれに地図状分布(5.)、subpleural sparing(6.)が認められればHRCT診断でPAPがほぼ確実。
(PAP疑い) Crazy-paving patternのみを認めればPAP疑い。
(PAPを支持する所見) PAPほぼ確実とPAP疑いを「PAPを支持する所見」とする。
(鑑別を要するHRCTでCrazy-paving patternを呈する疾患)
ニューモシスチス肺炎、リポイド肺炎、ARDS、急性間質性肺炎、薬剤性肺炎、肺胞出血、細気管支肺胞上皮癌、非特異的間
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