国家図书馆蔵傅山批注『黄帝内経』初考-SQUARE.doc

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国家図书馆蔵傅山批注『黄帝内経』初考-SQUARE

国家図書館蔵(傅山書入れ本)『黄帝内経』初考 趙懐舟 王小芸(山西省中医薬研究院基礎所 030012) 劉忠文 王軍(長春中医薬大学)  傅山(1607~1684)、字は青主、山西陽曲(今の山西省太原市陽曲県)の出身。明清移行期の著名な思想家であり学者である。経、史、諸子、道教、仏教、書法、絵画、音韻、訓詁、金石、考証、雑劇、そして医学などに対して、深い研究成果と独自の見解を持ち、多方面で活躍した学者である。  傅山は読書を好み、評語や注釈も多く、多くの著作は批注の形で残された。『傅山全書』及び『傅山全書補編』には、以下の書籍に傅山の批注が、簡明な形式で残されている。「管子批注」「荘子翼批注」「荀子批注」「淮南子批注」「呂氏春秋批注」「説苑批注」「金剛経批注」「楞厳経批注」「五灯会元批注」「翻訳名義集批注」「漢書批注」「後漢書批注」「晋書批注」「宋書批注」「梁書批注」「南史批注」「魏書批注」「北斉書批注」「周書批注」「北史批注」「隋書批注」「新唐書批注」「新五代史批注」「宋史批注」「金史批注」「元史批注」「春秋左伝批注」……「儀礼注疏批注」「史記列伝批注」「墨子批注」「隷釈批注」「杜詩通批注」「広韻音義校注」  傅山先生は『医薬論略』の中で、 「処一得意之方、亦須一味味千錘百煉、『文章自古難、得失寸心知』、此道亦爾、鹵莽応接、正非医王救済本旨」 〔一得意の方を処すとも、亦た一味味をめて千錘百煉す。『文章はより難く、得失、寸心知る』と。此の道もり。鹵莽なる応接は、正に医王の救済の本旨に非ず〕 〔ひとつの得意な処方をするとしても、一味ずつ吟味に吟味をかさねる。『文章は昔から難しく、その出来不出来は作者自身が知っている』と杜甫は述べているが、この医薬の道も同じである。いい加減な対応は、医術にすぐれたひとの救済の本旨ではない。〕 (※杜甫の『偶題』に「文章千古事、得失寸心知(文章は千古の大事業であり、その得失は作者の心が知っている)」とある) と述べている。私たちは、慎み深く厳粛な医学実践者である傅山が、薬性理論の方面で「精読経録及歴代以来続入本草〔経典を精読し、歴代のものを記録し、続いて本草に入る〕」という工夫をしたのみならず、中医のその他の領域への渉猟も浅くはないはずだと推測したが、『傅山全書』及び『傅山全書補編』では、わずかな数の条文しか、医薬に関連する情報を得ることができなかった。  従って傅山の著作とされる『傅青主女科』『青嚢秘録』『大小諸証方論』などの書物は、作者が本当に傅山なのか、論争の的であった。傅山の医学著書が存在するかが疑問である中、傅山手批〔書き入れ〕本『黄帝内経』の伝本の発見と確認は、傅山医学研究のひとつの突破口であるといえよう。  筆者は幸い「傅山医著の文献考証と校勘整理」というプロジェクトに参与した。これは山西省衛生庁中医管理局の「第十次五カ年計画重大基礎研究項目」の一つであった。傅山と関係ある資料が捜索される中、北京大学図書館所蔵の傅山批注『黄帝内経素問』残巻(5~11巻)と、国家図書館所蔵の傅山批注『黄帝内経』全帙が発見された。筆者は2009年5月初旬、中国国家図書館で、傅批『黄帝内経』の関連する批注を転写した。以下、本書の考証を略述する。   1.国図本傅批『黄帝内経』の目録記載と近代の伝承   1.1 国家図書館書目著録  『北京図書館古藉善本書目?子部医家類』(北京図書館編.北京:書目文献出版社出版,1987:1243~1244)に、以下の記載がある。 「補注釈文黄帝内経素問十二巻 唐王冰注 宋林億等校注 孫兆改誤 遺篇一巻 明趙府居敬堂刻本 傅山批 七冊 八行十七字細黒口四周双辺 一七九一六」 「黄帝素問霊枢経十二巻 明趙府居敬堂刻本 傅山批 三冊 八行十七字細黒口四周双辺 一七九一七」   1.2 中医文献学者の引用  馬継興『中医文献学』は、善本の条件を十種類に分けてのべている。その中の第八条は、ある種の医書刊本で、名家の手によって圏点校批や序跋題記が付されて、学術参考価値がさらに高まったものである。その例として「北京図書館蔵 清?傅山(すなわち傅青主)批 明?趙府刊 『黄帝素問霊枢経』」が挙げられている。(馬継興『中医文献学』。上海:上海科学技術出版社 1990:365) 郭靄春『黄帝内経霊枢校注語訳』には校本と一本として「明趙府居敬堂刊本 傅青主批校」が挙げられている。(郭靄春『黄帝内経霊枢校注語訳』。天津:天津科学技術出版社,1989:序例11.)  以上のように、図書館書目と中医文献学者が続けてこの書籍を引用していることは、段々と研究機関や専門家の注目を受けてきていることを証明している。ただしこれらの文献だけでは、本書の伝承過程を描写するのには十分ではない。

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