食の安全の理論制度実践-UTokyoOpenCourseWare.pdf

学術俯瞰講義「リスクと社会」 食の安全の理論?制度?実践 農学生命科学研究科 中嶋 康博 ? ：このマークが付してある著作物は、第三者が有する著作物ですので、同著作物の再使用、同著作物の二次的著作 物の創作等については、著作権者より直接使用許諾を得る必要があります。 1 食のリスクの特徴と問題(1) ? 生活の中のリスク ? 最も身近で避けられない ? 対象はあまりにも多く、想像よりも複雑（項目が多い 、相互関係がある） ? ゼロリスク志向になりがちと言われるが、どちらかと いうとリスクを考えたくないというのが実態 2 食のリスクの特徴と問題(2) ? ゼロリスクはありえない（ことが分かっている）ので、 それをどう思うかの心理が重要 ? 「他人事」にはなりえず、「我が事」と感じざるをえな い→最後は自分でリスクを回避できるのではないか という意識も ? ゼロリスクではないことに耐える、受け入れる→納 得する、忘れる ? 「安全」だけでなく「安心」が問題視される 3 食のリスクの特徴と問題(3) ? 「食の外部化」が進み、安全の確保も産業に依存し がち – 調理食品や外食の進展 – 食品調達の国際化 – 産業の高度化?重層化 ? 商品の価格には安全確保の代金も含まれると解釈 ? 他者に依存するがゆえに情報不足に敏感 ? マスコミによって意識が増幅 4 リスクに対する心理 －不安を左右する要因－ ? 自発 ? 制御可能 ? 利益 ? 公平 ? 人為 ? 経験 ? 将来 5 食品事故?食の安全問題 ? まがいもの（偽和?まぜもの） ? 食中毒 – 微生物 ? ボツリヌス菌集団食中毒（1984年） ? O157集団食中毒（1996年） ? 乳業集団食中毒事件（2000年） – 化学物質（食品公害） ? ヒ素ミルク中毒事件（1955年） ? 油症事件（1968年） ? 食品テロ ? グリコ?森永事件（1984?85年） ? 輸入餃子事件（2008年） ? ＢＳＥ、その他感染症 ? 新開発食品 6 食のリスク ? 食品の変質：腐敗、酵素作用、油脂変敗 ? 食中毒：細菌、寄生虫、化学物質、自然毒 ? 感染症：ウイルス、プリオン ? 発ガン、変異原、奇形、繁殖障害 ? アレルギー ? 栄養不良、栄養過剰 ハザード（Hazard） ：健康に悪影響をもたらす原因とな る可能性のある食品中の物質または食品の状態。 危害要因ともいう リスク（ Risk ） ：食品中にハザードが存在する結果とし て生じる健康への悪影響が起きる可能性（確率）と その程度