日本文化の原点、尽きない日本建築の魅力.pdfVIP

2 3 葉を燃料にしたし、台風の暴風除け、冬の寒 ンクリートの歴史は浅い。まだまだ建築材と 風除けの役目を果たした。 して未知の部分が多い。戦後やたらと建てら 　萱は、河原など村の入会地で自生させ、年 れたコンクリート箱形の学校や集合住宅は、 番で収穫して屋根材として利用した。千住の ４０年も経たないのに老朽化として建て替え 緑町は、千住一丁目から五丁目までの葦や萱 るか、姿を消している。もともと箱形の石造 の入会地であった。萱葺屋根は２０年目に補 りや煉瓦造りは乾燥地帯の建築で、温暖多湿 修し、５０年で葺変えしたという。この時は の日本には向かない。籠る湿気で結露が出た 隣近所総出の「ゆい」組織で手伝った。 り雨漏りの修理が困難。だが、多くの古寺が 　若い頃、毎年のように京都に行った。旅行 　現代の人々は、この根源を忘れているよう 千年を越えても健在なように、木造建築は幾 土や石は、舟運で調達 という気分ではなく、いま流の言葉でいえば な気がする。森羅万象、生き物は生命を保全 らでも修理が可能で維持できる。これは温暖 「いやし」を求めて行ったように思う。京都 するため自給自足を原則としている。それを 　草木は、自給できたが、壁に必要な土は、 多湿が樹木の成育にもっとも適しているため の寺院の広間で、縁側から手入れの行き届い 考えずして、経済力で補給補足しているのが 畑地などの土をやたら利用できないから、土 で、建築材に利用しても、材質が風土に適応 た庭を眺めていると、心がしぜんと安らぐ。 われわれである。これは極めて危険な生き方