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準不燃木材の開発 準 不 燃 木 材 の 開 発 ＊１ ＊2 ＊6 津 司 知 子 ?阿 部 健 一 ?平 井 賢 治 要 旨 平成 12 年に建築基準法が改正され，従来の「仕様」を中心とした基準から「性能」を 中心とした基準へ移行し，木材の利用範囲が拡がった。平成 15 年度に民間企業と共同で 外装用準不燃木材を開発したが，更に高い耐水性を持つ環境に優しい内外装用準不燃木材 の開発を行った。 リン酸系薬剤と酸化ジルコニウムの配合比，濃度などを検討し，燃焼試験，溶出試験を 行った結果，溶出率を 20%以下に抑え、ホルマリンもダイオキシンも発生しない環境に 優しい準不燃木材を開発することができた。 キーワード：準不燃木材、耐水性、酸化ジルコニウム １ はじめに 開発し，認定を受けたが、外装材のみの認定であ ３） 近年，地球温暖化対策の影響などから木材の利 った 。よって，更に高い耐水性を持つ環境に優 用が推進されているが，木材を建築材に使用する しい内外装用準不燃木材の開発を目的として引き 場合には，建築基準法において地震や火災から生 続き，ミロモックル産業株式会社，新丹生谷製材 命や財産などを守ることを目的として，品質性能 共同組合と共同で研究を行った。 や構方法について定められているさまざまな基 準を満たす必要がある。平成45年に建築基準法が ２ 試験方法 改正され，従来の「仕様」を中心とした基準から， ２．１ 使用薬剤 「性能」を中心とした基準へ移行した。これによ 難燃剤として一般的であるリン酸系?ホウ酸系 り，構材，外装材，内装材のそれぞれで，木材 ?窒素系難燃剤と紙用の耐水剤として使用されて の利用範囲が大きく変化し，今まで木材が使用出 いる炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を使用 来なかったところにも使用できるようになった。 した。 また改正により，防火材料の残炎時間と発煙係 数が評価項目から外され，発熱量で評価されるこ ２．２ 供試木材 ととなり，改正前は準不燃木材の認定は5件にと 新丹生谷製材共同組合製のスギ板材から次 １） の試験体を切り出して使用した。 どまっていたが ，改正後は平成4年度末現在， 準不燃木材は93件以上，不燃木材は73件以上と大 4,燃焼試験用+MLV D 4654, ：幅553pp/長さ553pp/ ２） 厚さ48pp きく増加している 。これらの認定品の多くは， リン酸系?ホウ酸系?窒素系の水溶性薬剤による 燃焼試験用+LVR 8993, ：幅433pp/長さ433pp/ ものがほとんどであり、薬剤の析出や流出に伴う 厚さ48pp ?63pp 防火性能の低下が危惧されるため，溶出の少ない 5,溶出試験用：幅83pp/長さ83pp/厚さ48pp 薬剤の開発が望まれている。 そこで，平成48年度にミロモックル産業株式 ２．３ 難燃剤の注入方法