硬質木片セメント板による視覚障害者誘導用ブロックの開発.pdfVIP

硬質木片セメント板による視覚障害者 誘導用ブロックの開発 青　木　光　子 　はじめに－視覚障害者誘導用ブロックとは 　皆さんも，歩道や駅に凹凸のついた黄色いブロック が連なって敷かれているのを見かけたことがあるかと 思います。これは視覚障害者誘導用ブロック （以下， 誘導ブロック）で，視覚障害者の方々が外出する際に 道しるべとなり，歩行の安全を確保する重要なもので す。 　一般に視覚障害者は，音や風，におい，車の流れな どを頼りに，常に神経を張り詰めた状態で歩行してい ます。このような中で，誘導ブロックは目的地までた どり着く大切な道しるべとなり，また，自分の所在を 図1　試作誘導ブロックの－例 確認できることから精神的負担を緩和します。 　誘導ブロックには，直進方向を案内する線字ブロッ ラミック製，樹脂製のものをはじめ様々なものが利用 クと，注意すべき位置 （交差点，曲がり角，階段など） されています。視覚障害者からは 「コンクリート製の や主要な施設等の所在を案内する点字ブロックがあり ます （図1）。 ものは足触りが硬く疲れやすい」,「樹脂製のものは雨 はくじょう 天時に滑りやすく危険である」などの指摘もあります 　利用する視覚障害者のうち，全盲の方は足裏や白杖 でブロックを確認しながら歩行しますが，視覚障害者 が，誘導ブロックに求められる材質性能 （耐久性，滑 の大半を占めるる弱視の方(北海道内の場合22,492人中 り，歩行性など）について，その標準となる仕様が確 1） 立されていないため，素材についての検討までは，ほ 16027, 人）は．誘導ブロックの黄色い色を頼りに歩 行しています。そこで，誘導ブロックの色彩は原則黄 とんどなされていないのが現状です。 色とし，景観を重視する場合でも周辺舗装面の色との 　そこで，適度な滑り抵抗性をはじめ優れた床性能を 2） 対比効果が十分発揮できる色(輝度比1.5～3.0)と もつ木質材料に着目し，誘導ブロックヘの適用につい することが必要です。 て検討しました。 　誘導ブロックをめぐる状況 　誘導ブロックの試作 1993年の 「障害者基本法」公布以降，各地で「福祉 　－硬質木片セメント板による誘導ブロック の町づくり条例」等が制定?改定され，誘導ブロック 　硬質木片セメント板は，木片を粉砕した小片とセメ に関しても，各市町村ごとに整備がすすめられていま ントを混合したものを，押し固めてできる板材で，こ す。しかし，凹凸のパターン，色，材質等については 3） れまで防火外壁材や耐火野地板などの建築用内?外装 地域により多種多様なものが流通?敷設されており ， 現在ようやく，パターン （突起の形状，配列，寸法） パネルとして広く用いられてきました。 4） 　この素材は，強度，耐朽性はもちろんのこと，日光 の標準化について検討されている段階です 。 　誘導ブロックの素材についても，コンクリートやセ