福岡県産スギ材の難燃剤含浸による防火材料の開発.pdfVIP

福岡県工業技術センター 研究報告 No.25 (2015) 福岡県産スギ材の難燃剤含浸による防火材料の開発 －コーンカロリーメータによる発熱性能評価－ *1 *1 *1 朝倉 良平 岡村 博幸 竹内 和敏 Development of Fireproof Material from Fukuoka Prefectural Cedar Lumber by Impregnation of Fire Retardant Chemicals - Fire Testing by Cone Calorimeter - Ryohei Asakura, Hiroyuki Okamura and Kazutoshi Takeuchi 福岡県産木材を活用した防火材料の開発を目指して，福岡県産スギ材にリン-窒素系の難燃剤水溶液を減圧，加 圧含浸後に，乾燥した板材の発熱性能をコーンカロリーメータで測定した。難燃剤を含浸した板材（幅105 mm×厚 さ20 mm×長さ1000 mm）の両端部，中央部から切り出した試験片（100 mm角）の発熱性能は，3試験片とも燃焼時 2 間が20分経過したときの総発熱量は，8 MJ/m 以下であった。また，塗装処理による発熱性能への影響について知 見を得るため，同じ板材から切り出した試験片にウレタン塗料，難燃剤含有ウレタン塗料を刷毛塗りし，コーンカ 2 ロリーメータによる発熱性能を測定した結果，同20分経過のときも総発熱量は，8 MJ/m 以下であった。 1 はじめに 2 実験方法 平成22年10月に施行された?公共建築物等における 2-1-1 供試木材 木材の利用促進に関する法律?1) と同時期に公表され 供試木材は福岡県産スギ材（幅105×厚さ20×長さ た「公共建築物における木材利用の促進に関する基本 1000 mm）で，無節の板材を用いた。板材の含水率は， 方針」2) に基づき，低層の公共建築物は原則木造化と 木表側の両端と中央の3か所を高周波型含水率計で測 することと，高層の建築物であっても，可能な限り内 定し，平均値とした。 装を木質化することが明記されており，各都道府県で 2-1-2 木材への難燃剤の含浸 も基本方針を策定し，利用量の数値目標を掲げている。 含浸する難燃剤は，リン-窒素系の水溶液で固形分 このような背景から，今後木材の利用が増加すると考 濃度を35wt%に調整し用いた。難燃剤の木材への含浸 えられる。一方で，建築基準法では，高層の建築物や は，次の手順で行った。4枚の板材を空の含浸槽（幅 不特定多数の人が来場する建築物の内装材料に，防火 110 mm×深さ146 mm×長さ1142 mm）に入れ，難燃剤 処理をしていない木材を用いることを制限しており，