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第４章 材料理工学実験における安全 - 28 - ４．１ 一般的事項 ４.１.１ 実験の心得 実験では，日常生活ではほとんど触れることのない実験器具や装置を取り扱ったり，劇物や毒 物を用いたりすることになる。このため，ちょっとした不注意や予備知識の不足が，重大な事故を 引き起こす可能性がある。諸注意を守ることによって事故を未然に防ぐことができ，そうした心構 えや経験を通して積み重ねられる知識が将来にわたっての自らの安全を保障し，実りある成果 をもたらす。 事故を未然に防ぐには，各実験のテキスト類及びこの 「安全の手引き」 をあらかじめ良く読 むとともに，指導者の指示，助言に従うことが肝要である。同時に，整理?整頓に心がけ，危険の 種をあらかじめ除いておくことに努め，実験にあたっては，心身ともに調子を整え，実験を安全 かつ的確に進めるよう努力する。 ４.１.２ 一般的心得 （1） 事前の準備 １．予習 当日までに次のテーマのテキストおよび安全の手引きの該当箇所を読んでおく。 ２．服装 物理系の実験の際には動作中の機械に引きずり込まれないように，ぴったり身についた服 装をする， 長髪は束ねること。化学薬品を用いる実験では白衣を着ることが望ましい。また， いずれの場合にもサンダルやスリッパは厳禁とし，すべりにくい底の靴をはく。 （2） 当日の心得 １．遅刻厳禁 実験の都合上ならびに危険を考慮して，遅刻者には実験をさせないことがある。 ２．作業開始時の注意 実験装置を始動したり，電源を入れたり，物を移動したりする場合には，安全を確認してか ら行う。 ３．注意力の集中 実験中はその実験に集中することが必要である。実験中，雑談あるいは不用意に装置から 離れたりすることは事故のもとになる。 ４．うろつき歩き禁止 他の実験装置に触ったり，あらかじめ定められた物以外は手を触れてはいけない。他の実 験スペースへ入らない。特に機器等の破損の際に破片が飛んで来るところ，たとえば回転体 の半径方向などには極力立ち入らない。 ５．粉じん対策 実験中に粉じんおよび溶接ヒュームの飛散や切粉の飛込みによる災害を防止するため， 必要な場合は防じんマスク，保護眼鏡を着用し，有機溶剤蒸気に曝れる時は活性炭入りマ スクを着用する。高温になった器具，装置の取り扱いには用途に適合した素材の保護手袋 を着用しなければならない。 ６．後始末 実験終了時には電源を切ったり，後始末を行い，担当教員の許可を得てから退出する。 （3） 事故が発生したときの措置 万一事故が起こったら，先ず第一に人命の安全と人的被害を最小限にすることを心がけ， - 29 - 第二に被害が広がるのを防止する措置を講ずる。以下においては，材料理工学コースでの実 験において起こる可能性のある事故について，先に行うべき救急処置を記す。 １．酸?アルカリなどの劇物や有毒物が皮膚についた場合 汚染した部分を大量の水で洗う。衣服が汚染した場合は速かに脱がせる。衣服を脱がせる とき劇薬を浴びてただれた皮膚をこする恐れのあるときは， 手早くハサミで切り取る。 ２．眼に入った場合 まぶたを開き，水道水で 10 分ぐらい洗う。眼はアルカリに対して弱いので特に注意する。 ３．有毒?刺激性気体を吸い込んだ場合 速かに新鮮な空気の場所に移す。独力で歩けない場合は，無理のないように身体を支え て連れていくか，担架などで運