難燃パネルボードの製造技術 - r.pdfVIP

“シリーズ　技術移転その後″ 難燃パネルボードの製造技術 菊　地　伸　一 ２ 　木材と建築基準法 います。例えば2階建てで延べ面積が1000ｍ 以上， ２ 　建物火災は，たばこやコンロなど何らかの火源 ３階建て以上で延べ面積が500ｍ 以上の建築物は によって家具や壁が燃焼しはじめ，ついで天井の 内装にほとんど木材を使うことができません。ま ２ 着火へと進行します。天井が燃えはじめてほどな た，客席が400ｍ 以上ある劇場，集会場や，延べ ２ く多量の煙や炎が噴出し，室内の温度が急上昇す 面積が300ｍ 以上ある病院，旅館，ホテル，共同 るフラッシュオーバーという現象が生じます。フ 住宅などの特殊建築物も内装が制限されています。 ラッシュオーバー以降，室内は1，000℃前後に達 し，一酸化炭素などを大量に含む煙が発生するた め建物全体が危険な状況に陥ります。このためフ 　開発の経過 　昭和57年頃，スキー場のロッジなどの特殊建築 ラッシュオーバーが起きるまでの時間を遅らせ， 物の内装にカラマツパネルボードを利用すること その間に避難を終わらせることが火災の初期の最 が計画され始めました。また，木質系材料，特に 大の課題とされています。 むくの板材 （パネルボード）を建築物の内装とす 　建築基準法には，燃えやすい材料や，有害ガス ることが，室内の温湿度調節，吸音特性の向上な を生じるような材料を建築物の内装に使用するこ どのメリット，および本物志向?自然志向からし とを制限するきまり， 「内装制限」が定められて だいに広がりつつありました。さらに，道産広葉 います。この規定の目的は，出火防止を図り，万 樹を規模の大きい多目的ホールや集会場の内装に 一火災が発生した場合でも初期の火災拡大を抑制 利用する計画や木製品を展示?ＰＲするための建 し，フラッシュオーバーが生じるまでに避難が可 物の内装に木製品の一つとしてパネルボードを使 能な時間を確保することにあります。 用する計画が多くなってきました。しかしながら 　材料の燃えにくさや，発生ガスや煙の安全性な これらの利用方法は全て建築基準法の内装制限に どは建築基準法に定められた試験方法で評価され 抵触し，内装材料は建設大臣の認定を取得した法 不燃材料，準不燃材料，難燃材料に区分されます 定難燃材料である必要がありました。 スレートやけい酸カルシウム板は不燃材料に，木 　当時，内装制限に適合する木製品とし