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電気推進ロケットエンジンの推進性能と内部プラズマ物理現象 に関る

電気推進ロケットエンジンの推進性能と内部プラズマ物理現象 に関する調査専門委員会 プラズマ技術委員会 1.目的 電気推進ロケットエンジンは、主に太陽電池により太陽光エネルギーを電気エネルギ ーに変換し、これを推進エネルギーに利用するロケットエンジンである。化学ロケット エンジンに比べて、推進剤噴出速度が格段に大きいので、推進剤の使用量を節約でき荷 重量を増やすことができる。すなわち、高比推力(比推力:推進剤単位重量当たりに得 2 られる推力(推進剤噴出速度を標準重力加速度(9.8m/s )で割った値))、低加速度であ るという特徴を持つ。そのため、重力の影響の弱い宇宙空間での長期ミッションに適し ており、宇宙飛翔体の軌道保持、姿勢制御への利用、深宇宙探査の主推進エンジンとし て活躍中である。日本では、小惑星探査機「はやぶさ」がマイクロ波放電式イオンエン ジンを駆り地球帰還を果たして、世界的な偉業を達成したのは記憶に新しい。 電気推進ロケットエンジンでは放電を利用して電力を推進剤に投入しその放電プラ ズマを加速するので、それら過程の十分な理解が推進性能の高いロケットの開発のため には必要である。すなわち、広範な電気工学、プラズマ物理?技術を駆使し、如何に効 率良くプラズマを生成?加速するかが鍵となる。さらに宇宙機器特有の軽量化、長寿命 化も開発上の大きな問題である。 本調査研究では、航空宇宙分野独特の考え方を十分理解した上で、あくまで一般的 な電気工学の中の電気機器システムとして電気ロケットエンジンシステムを捉え調査 研究を行う。問題点の洗い出し検討を加えていく。さらに、電気推進ロケットエンジン をプラズマ発生?加速装置の1つと捉え、多くの地上のプラズマ装置と比較検討を行い ながら、プラズマ特性、その物理現象の調査研究を行う。より効率良くプラズマを発生 させ加速させる方法の検討も加える。さらに、電気推進ロケットエンジンの地上応用を 目指した研究の調査を行い、それら分野の地上の機器と比較し、長短所を検討する。 こうして、本調査専門委員会は、航空宇宙工学分野の電気推進ロケットエンジンの開 発研究者と電気工学分野の電気機器システム、プラズマ工学分野の研究者が集まり、お 互いの立場を認識?理解すると共に、十分なコミュニケーションを取り協力し合い、精 力的に調査研究を行う環境下で運営される。我国における当該分野の研究をさらに広く 展開させる可能性を大いに秘めている。 2.内外の趨勢 近年、人工衛星の高機能化と共に、その規模は大型化と小型化に2分化する傾向にあ る。3ton 以上の大型静止衛星(電力 5kW 以上)から数 kg 以下の小型衛星(数 W から 数百 W)までその需要は幅広い。小型衛星と言っても電力は小さいが、要求される推 力は必ずしも小さいわけではなく、そのミッションに必要な性能を備えた推進機が要求 される。低コストであり、要求性能を満たす電気推進システム、先端宇宙推進システム の開発が強く望まれている。また、宇宙ステーションの建造により宇宙利用計画も活発 になり、高度技術を駆使した惑星?深宇宙探査機の開発も進められている。これらの宇 宙機に望ましい大電力、もしくは微小電力の電気推進、これらのミッションを達成する ために必要不可欠な電気推進エンジンの開発研究が世界的に盛んになってきた。 大電力電気推進は次世代の高度高機能ミッションである、超低高度衛星、全電化静止衛 星、ハイブリッド静止軌道投入、軌道間輸送、超遠距離深宇宙動力飛行などを可能にする。 さらにこれらの先進技術は、宇宙大量物資輸送を担い、月有人ミッション実現や宇宙太陽 発電衛星建造を支えるものと期待される。 超低高度軌道とは高度 200km 程度の軌道であり、その利用方法が検討されてきた。現在、 宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency: JAXA)では超低高度衛星 技術試験機(Super Low Altitude Test Satellite: SLATS)を計画しており、大気抵抗補償 のための電気推進として、低電力推力比(27W/mN 以下)と長寿命の観点から、JAXA の 35cm 級リングカスプ型イオンエンジンが有望視さ

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