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ほぼ比例し、この理由として、標的内に伝搬する衝撃波との関わりにつ.pdf

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ほぼ比例し、この理由として、標的内に伝搬する衝撃波との関わりにつ

審査の結果の要旨 論文提出氏名 牧 謙一郎 本論文は、「超高速衝突に伴うマイクロ波放射の観測及び放射メカニズムの考察」と題し、物体の超高 速衝突に伴いマイクロ波が放射される現象について、基本特性を観測実験により明らかにするとともに、 特に衝突速度および飛翔体や標的の材質等のパラメータ依存性を示し、その観測データを基に放射メカニ ズム?モデルを提案し、さらに本現象の応用として宇宙デブリの宇宙機への衝突検出システムの検討を行 うもので、9章より成る。 第1章 「序論」ではまず、宇宙ごみが人工衛星へ超高速衝突する際に生じる被害の重要性について述べ、 衝突を検出するシステムが必要であることを説明している。その上で、超高速衝突に伴うマイクロ波放射 現象の理解が要求されることを述べている。地震のような静的な物質破壊に伴う電磁波放射についても、 衝突放射との違いと研究の現状から言及している。次に、本研究の目的及び論文の構成について述べてい る。 第2章「実験系の構成と特性」では、まず実験で使用される加速装置の機構?特性、飛翔体?標的の詳 細について述べている。特に、観測トリガの発生機構について、時間遅れと観測すべき時間分解能との関 係が説明されている。次に、マイクロ波放射の観測システム構成を述べ、超短パルスの連なりを観測する のに適した受信系を提案している。較正実験を行うことにより、入出力特性、出力電圧の飽和特性、増幅 器で発生する高調波による出力波形の歪み等を明らかにしている。 第3章「測定環境特性」では、実験室での外来雑音、電波減衰についての特性を実験的に明らかにし、 環境が放射測定に影響を及ぼすことが無いことを示している。 第4章「マイクロ波放射特性」では、超高速衝突におけるマイクロ波放射の観測結果について述べてい る。検出される信号は断続的なパルス波形であり、数十~数百マイクロ秒継続するという特徴を述べてい る。得られる波形から、提案する方法で放射電力を推定し、飛翔体?標的の材質依存性について述べてい る。放射電力は衝突速度の2.9~6.4のべき乗に比例しており、標的材質が導体の場合、断続的パル ス信号が顕著に現れる。飛翔体が標的へ接触してから、パルス信号検出までの時間遅れが、標的の厚さに ほぼ比例し、この理由として、標的内に伝搬する衝撃波との関わりについて考察している。 第5章「光学観測との比較」では、高速ディジタルビデオカメラを用いて、衝突発光現象を撮影し、そ の特徴を述べ、マイクロ波放射が光放射とは異なる特性を持つことを示している。 第6章「岩石圧縮破壊実験」では、超高速衝突における物質破壊と局部加熱を切り分けるために、岩石 を静圧で破壊する時のマイクロ波放射観測実験について、その方法、結果を述べている。衝突放射と同様、 断続的パルス信号が検出され、マイクロ波放射と物体の破壊が関係することを提示している。 第7章「放射メカニズムの考察」では、衝突実験、静圧破壊実験双方から得られた結果を元に、マイク ロ波が放射されるモデルを提案している。標的の物質の破壊あるいは微小亀裂に伴って?摩擦?圧電等で電 圧が生じ、火花放電が起こることにより、マイクロ波が放射されるというものである。このモデルによる 放射電界及び受信機出力波形を計算により求めて、実験により得られた特性と比較的良く一致することを 述べている。 第8章「宇宙デブリ衝突検出への応用」では、宇宙ごみの衝突をマイクロ波で検出するシステムについ て、国際宇宙ステーションを例にして検証している。実験データを基に、衛星上の搭載される受信システ ムで衝突を検出することが可能であることを述べている。 上記の内容全体を、第9章でまとめている。 以上これを要するに本論文は、物体の超高速衝突によるマイクロ波発生現象について、観測技術を確立 し、現象を詳細に解析して、マイクロ波発生のモデルおよび宇宙デブリの衝突検出システムの可能性を示 しており、電磁気学や宇宙通信工学を中心とする電気工学に貢献し、さらに宇宙工学や材料学への波及効 果も少なくない。 よって本論文は博士(工学)の学位請求論文として、合格と認められる。

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