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平成23 年(ワ)第 1291 号、平成24 年(ワ)第441 号、平成25 年(ワ)第516 号、平成26 年(ワ)第328 号 伊方原発運転差止請求事件 意見陳述 原告 徳弘嘉孝 (高知県土佐市) 私は、高知県土佐市に在住する徳弘嘉孝と申します。原告として陳述する機会を戴い たことを感謝します。 私は高知工業高校電気科を卒業し、4 年間電機メーカーで働いたあと、立命館大学理 工学部?数学物理学科を卒業して、中学高校の数学教師として37 年間働いてきました。 高校時代の友人の多くが東芝、日立、三菱、ＮＥＣなどの電機メーカー、東京電力、中 部電力、関西電力、四国電力などの電力会社に就職し、今はみんな定年退職しましたが 原発に関わった親友もいます。会うとよく原発の議論をしてきました。大学時代の友人 の何人かも原子力と関係のある仕事に就きました。私は若いころから原子力発電に関心 があり、東海村の第1 号原発を見学して、炉心の真上に立ったことがあります。素粒子 の理論を勉強しようと、つくば市にある高エネルギー研究所の陽子加速装置「トリスタ ン」も見学しました。 高知県では1970 年代後半に、土佐佐賀に続いて窪川原発の計画が持ち上がり、住民 を2 分する大闘争が行われましたが、その時の私は、高校生相手の苦しい教育実践の 日々で、原発反対運動に積極的に関わることはできませんでした。転機となったのは、 私が教師を退職した直後に起きた高レベル放射性廃棄物いわゆる核ゴミの最終処分場 の問題でした。高岡郡津野町に続いて安芸郡東洋町も処分場誘致計画に手を挙げました。 私は、これは大変だと考えて、もう一回原子力や放射能についての勉強をし直しました。 反対の立場を確認して行動を開始し、今は「原発をなくし自然エネルギーを推進する高 知県民連絡会」の共同代表の一人として活動しています。これまでの経験から、伊方原 発の運転に反対する理由、原発からの撤退の必要性について、私の意見を述べさせてい ただきます。 まず何よりも地震と津波による原発事故のおそれです。高知県では今、南海地震、東 南海地震、東海地震、日向灘地震これらが単独または合併して起きることを想定して、 「地震がいつ起きてもおかしくない」という認識で対策を進めています。予想される津 波の最大の高さは30 メートルを超える地域もあり、津波避難タワーや津波避難場所の 設置、住民避難の訓練など、被害を最小限に食い止める努力をしています。私の住む土 佐市でも、太平洋に面した宇佐や新居地区で堤防のかさ上げ工事が急ピッチで行われて います。この中で言われていることは、「地震が来た時に原発事故が起これば助かりよ うがない」という言葉です。地震をとめることはできませんが、原発事故をとめること は可能でしょう。周防灘などでの地震情報が流されると、仲間は皆「伊方は大丈夫か」 と言います。私の住む土佐市から伊方までは直線で約100 ㎞、冬の風が吹くと西風に 乗って放射能を含む雲が来ます。雨が降れば大地も汚染されます。250 ㎞の範囲は汚染 される危険があると福井地裁判決は認めました。高知県は250 ㎞の圏内にすべて入り ます。私たちは地震が起きても原発が絶対事故を起こさないことを強く望みます。 四国電力は過去のデータを解析して伊方原発での基準地震動を650 ガルと算定し、 概ね 1000 ガルまでは大丈夫だと主張しています。しかし、そもそもこのデータは高々 過去60 年程度のものにすぎません。大地震はそんなにしょっちゅうあるものではなく、 数字データの蓄積は多くありません。統計学によると、標本の数が少ないと推定の精度 が落ち、予想される平均値の幅が大きくなるのは避けられません。データが少なく、実 験をすることもできない地震学の限界を考えるとき、伊方で1000 ガルを超える地震が やってこないということを信じることはできません。日本で実際に観測された4022 ガ ルのデータもあります。原発が重大事故を起こすとその影響は広範な地域に広がり、解 決には千年万年といった単位の長い時間を必要とし、しかも放射能をなくすことはでき ません。原子力発電がほかの発電所などとは全く違う事故の特性を持っているこ