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2法と哲学(法理論の発展)-hou
WEB補論第17章 法と哲学―法理論の発展―
【目 次】
1 古代ギリシャ(紀元前)
(1) ソクラテス〈哲学の父〉(紀元前400年代)
(2) プラトン〈イデア論〉(紀元前400年代後半~300年代中頃)
(3) アリストテレス〈個物論〉(紀元前300年代前半~300年代後半)
(4) ギリシャ世界のその後
2 中世(紀元1世紀~14世紀まで)
(1) アウグスティヌス〈最大最終のキリスト教父〉(西暦354年~430年)
(2) ユスティニアヌス〈ローマ法大全編纂〉(在位527年~565年)
(3) トマスアクィナス〈神学大全〉(1225年~1274年?イタリア)
3 近世(15世紀~17世紀)
(1) F.ベーコン〈近代科学の草分け〉(1561年~1626年?イギリス)
(2) R.デカルト〈近代哲学の祖〉(1596年~1650年?フランス生れオランダ在住)
(3) H.グロティウス〈国際法の父〉(1583年~1675年代?オランダ)
(4) T.マス?ホッブズ〈絶対主義的社会契約論〉(1588年~1679年?イギリス)
(5) J.ロック〈民主社会契約論〉(1632年~1704年?イギリス)
(6) Ch.モンテスキュー〈法の精神〉(1689年~1755年?フランス)
4 近代(18世紀~19世紀前半)
(1) J.J.ルソー〈自然に還れ〉(1715年~1778年?フランス)
(2) I.カント〈科学二元論〉(1724年~1804年?ドイツ)
(3) W.ヘーゲル〈科学一元論?弁証法〉(1770年~1830年?ドイツ)
(4) F.サヴィニー〈近代法律学の創始者〉(1779年~1861年?ドイツ)
(5) G.プフタ(1789年~1846年?ドイツ)、B.ヴィントシャイト(1817年~1892年?ドイツ)〈概念法学〉
5 近代(19世紀後半)-ドイツ実証主義法学
(1) R.イェーリング(1818年~1892年)、Ph.ヘック(1853年~1943年?ドイツ)〈概念法学批判→自由法学?利益法学〉
(2) E.エールリッヒ(1862年~1922年?ドイツ)、H.カントロヴィッチ(1877年~1940年?ドイツ)〈自由法学?社会学的法学〉
6 現代(19世紀後半~現在)<ポスト?モダン>
(1) J.デューイ〈プラグマティズム〉(1859年~1952年?アメリカ合衆国)
(2) G.ラートブルフ〈法学者〉(1878年~1949年?ドイツ)
(3) M.ハイデッガー(1889年~1976年?ドイツ)、J.P.サルトル(1905年~1980年?フランス)〈実存主義〉
(4) R.シュタムラー(1856年~1938年?ドイツ)、E.ラスク(1875年~1915年)〈新カント派〉
(5) H.ケルゼン〈規範科学としての法学〉(1881年~1973年?プラハ生?ドイツ?オーストリア)
(6) K.H.マルクス(1818年~1883年)、F.エンゲルス(1820年~1895年?ドイツ)〈マルクス主義経済と法学〉
(7) J.F.リオタール(1924年~1998年?フランス)、M.フーコー(1926年~1984年?フランス)〈ポスト?モダン〉
ここでは、法律を学ぶにあたって、現代法理論の基礎を提供している哲学および法哲学の基礎的知識を確認しておくことにしよう。
哲学や法哲学の創始は、古代ギリシャ時代にまで遡るといわれている。したがって、この章の進め方は、古代ギリシャ、ローマ?中世、近世、近代そして現代の主な哲学者?法哲学者をとり上げて、まず、各人の思想を概説する。そして、これらの賢人たちの思想が、どのように現代政治社会に影響し、法の世界に実現されあるいは応用されているのかを検討したい。
1.古代ギリシャ(紀元前)
古代ギリシャ民主政治の中心的視点は、人間を含む自然世界(神ではない)にあった。したがって、ギリシャの法規範および法秩序は、自然を超えた秩序に基づく客観的なものと考えられていたといえる。とはいっても、ギリシャ?ポリス社会は、奴隷制を基盤とし、参政権と土地所有権を独占し且つ課税を免除された特権階級の貴族?僧侶そして市民による共同体的都市国家であった。民主政治は、話し合いと説得という過程を必要とする。やがて、人々に弁論術や基礎的な教養などを教えるソフィストと呼ばれる者が出現した。紀元前400年代に、プロタゴラスは、「人間は万物の尺度である」と述べた。これは、自然の原理から人間を主体とする価値観へ転換しつつあることをあらわす。ここに哲学的な思考の萌芽がみられる。
(1) ソクラテス〈哲学の父〉(紀元前400年代)
ソフィストは、万物の価値の判断を、人を主体とした相対主義に
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