第3章学校医の職務.pdf

　 学校医の職務は 学校保健安全法施行規則第22条に規定されている。職務そのものについては、 今後とも変わることはないと思われるが、職務の内容は社会情勢や学校環境の変化に応じて変わ ることになる。 　 学校保健計画の策定等については、 学校保健安全法第５条において「学校においては、児童生 徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため、児童生徒等及び職員の 健康診断、環境衛生検 査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実施しなけ ればならない」とされている。また、 学校安全計画の策定等については、前述（P13参照）した とおりである。 　「学校の設置者は、学校環境衛生基準に照らしてその設置する学校の適切な環境の維持に努め なければならない。」と記されている。その他、騒音、飲料水、水泳 プールなどの管理やアスベス ト、ホルムアルデヒド対策など 学校薬剤師と協力して医師として専門的事項に必要な指導、助言 を行う必要がある。 　「学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、 健康相談を行うものとする。」とある。 　最近、特に問題の心の健康については、児童精神科医や学校カウンセラーとの連携が必要であ るし、 アトピー性皮膚炎や脊柱 側弯症、スポーツ外傷や性感染症などは専門医への紹介のきっか けとなる 健康診断と同様 健康相談や研修会、講演会等が必要となる。 　 定期健康診断の目的は個々の児童生徒について学校生活を送る上で配慮が必要な疾病や異常を 早期に発見することと、発育状態、体格や運動能力、健康状態の把握である。また、定期健診の 結果を以下のように役立てていくことが大切である。 　⑴　自分の体に関心をもち、健康に対する意識を高める資料とする。 　⑵　快適な学校生活が送れるかどうかについて、保護者と学校職員とが共通認識をもつ資料と する。 　⑶　児童生徒が生涯にわたる健康管理の資料として活用する。 　　　なお心の健康や アトピー性皮膚炎、 側弯症や性の問題などは、専門医と連携して 健康相談 を行うことも必要とされている。 　また、 健康診断の事後処置として「学校においては、前条の 健康診断の結果に基づき、疾病の 予防処置を行い、又は治療を指示し、並びに 運動及び作業を軽減する適切な措置をとらねばなら ない」と規定している。 　 健康診断や保健調査の結果をもとに疾病や異常の有無を総合的に判定し、専門医などによる精 密な検査を行うよう、助言し、あるいは必要な医療を受けるよう指示することになっている。し かし、事後の受診率は必ずしも高くないのが現状であり、 学校医はたびたび学校側に受診率を問 い、学校職員にその向上に努力すべきことを促す必要がある。各種の 予防接種についても接種率 向上のため 学校医と学校側の密なる連携が重要となる。 　現実的には 学校医がこの職務にあたることは、運動会やマラソン・持久走などの現場に居た場 合を除くと不可能である。 養護教諭や担任教諭が速やかに救急車を依頼し、必要なら警察への通 報が優先される。 　 学校医は救急時におけるマニュアルを作成し、日頃の想定訓練など実施すべきであることを指 示し、時として校長の要請があれば学校に出かけ、 救急処置にあたる心構えはしておく必要があ る。 　法第11条の 健康診断とは就学時の 健康診断であり、法第15条１項の 健康診断は学校職員の 健康 診断である。就学時の 健康診断については 教育委員会が主体となって行うべきもので、必ずしも 一 学校医でなくてはならない職務であるが、慣例的に 学校医が関与することが多い。就学時の 健 康診断では障害児の就学に関することが重要な問題の一つである。ほとんどの 教育委員会が、障 害児の就学を検討する委員会を設けて対応している。障害児について特別殊支援教育として検討 されている。 　学校