森茉莉父亲的帽子.pptVIP

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ーー森茉莉（もりまり） 　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　についての鑑賞 父の帽子 　　森茉莉は森鴎外の娘です。でも、ただの娘ではありません。茉莉は父親をほとんど崇拝するほどに愛し、父親の愛をまた一身にうけて育ちました。　 お父さん　可愛がっている 娘　　愛している 父女恋 こんなふうに『父の帽子』には綴られています。「私は幼い時からそばにいて父を見ていて、私には父が、学問や芸術に対して、山の頂を極める人のような、きれいな熱情を持っていた人のように、見えた」。茉莉はそのような父の「きれいな熱情」をひたむきに追う影となります。それが一生つづいています。 十七になって夫とヨウロッパを歩いた時、私はいろいろな場所で「父の心」に会ったように、思った.　私は父の、もっと極めたくて極められずに死んだ、学問への「心」が、暗い本棚あたりに漂っているのを感じ、稚い頭の中で、父の一生を考えてみるのだった。 　かくて茉莉は鴎外のマントの中で夢を見て、鴎外の息とともに呼吸のできる少女となりました。その少女の原型を持って、老女となっていました。本書には、もはや何もほしくなく、ただ想像力の中に生きていたいとおもう、その茉莉のもともとの悲哀の美しさが綴られています。　そういう意味では、本書こそは茉莉の原点です。その原点にある「父の帽子」とは、立派な鴎外が、娘を連れて帽子屋で自分にあう帽子をさがしている絶対光景のことです。 　もうひとつ、言いたい事があります。茉莉の晩年30年ほどは、とても貧しかったのです。　どのくらい貧しかったというと、プロパンガスではストーブがつかず、といって電気ストーブを買う経済力もないので、冬場の昼間はベッドに逼塞しなければなりません。　 私はこの人の文章に驚かされました。とにかく言葉の選び方が上手で、濃厚な書き方には好き嫌いがはっきりしているので、私はとても好きです。何とも言えないような感覚を簡単な言葉で表して、めずらしい才の持ち主だといえるでしょう。 ご清聴　 　　ありがとう 　　　　ございました　　 * *