第2章　土の保水性.doc

蚀蚈羄莁莀袄袀薅芄袀螃薆薆薁膆螇薆芃螄芀艿薅莆芄螇袀薅芄袀螃薆薆薁膆螇薆芃螄芀艿薅莆芄螇袀薅芄袀螃薆薆薁膆螇薆芃螄芀艿薅莆芄螇袀薅芄袀螃薆 1.　土壌物理を学ぶにあたって 1.1　土壌物理学の概要とその学び方 　土壌物理学は，土壌における物理現象を取り扱う自然科学の応用分野である．物理現象には様々なものがあるが，ここでは，土壌における物質や熱の保持と移動を主に取り扱う．地上の物体を支える力や斜面崩壊といった力学的分野は土質力学（土質工学Ⅰ?Ⅱ）で学ぶ．「物質や熱の保持?移動だけ」といっても，物質には水や様々な化学物質（肥料成分から環境汚染物質まで）が含まれるし，化学反応による濃度変化も取り扱わねばならないときもある．また，熱に関連して大気とのエネルギー交換も対象となるし．さらに，植物の存在も大いに関係する．すなわち，物理のみならず，非常に学際的な知識を必要とする学問分野と言える．土壌を舞台として起きているすべての現象を物理学的なアプローチを中心として理解しようとする分野とも言えるかもしれない． 　このように守備範囲の広い土壌物理学を研究しているのはどのような人々なのだろうか．数学や物理学に長けた人ばかりであろうか．実は必ずしもそうではない．土壌物理学会会員のバックグランドは，農業土木学，土壌化学，作物学，森林科学，気象学，農業気象学などバラエティに富んでいる．つまり，「物理学が得意だから土壌物理学をやっている」のではなく，「自分が興味を持っている現象を理解する上で土壌物理学が有効だから学んでいる／使っている」のである．これから土壌物理学を学ぼうと思う人は，このことを知っておいて欲しい． 「物理現象は数学という言葉で記述されている」といわれるほどに数学を使うと物理現象を非常にうまく説明できる．これは土壌物理学でも同様である．したがって，数学を「道具」として駆使できると有利だろう．しかし，私は初学の段階から「数学を駆使して学ぶ」必要はないと思う．まずは土壌物理の世界に現れる現象とその扱い方，考え方に馴染むことこそが大切であろう．深い理解を望む人は必要に応じて努力すればよいと思う．したがって，本書では，数学の利用は最低限にとどめている．ただし，それは「数学は使わない」ことを意味しない．ここに書いているレベルならばやり方次第で絶対に理解できる．「自分は物理をやっていない／自分は物理が得意ではなかったから土壌物理も分からない」のではなく，「土壌物理学を理解しようという意識がないから分からない」のが本当だろう．土壌物理を学ぶのに「物理や数学が得意」という通行手形は必要ない．険しい道を乗り越える強い意思だけが必要なのである．理解するまでにかかる時間は人それぞれであろうが，意思さえあれば，いつかはたどりつける． 土壌物理学の勉強法であるが，「自分で練習問題を解く」に尽きると思う．その過程で判らないところをよく考え，自分なりの理解を作り上げる必要がある．もちろん，質問は歓迎する．自分の理解を友人同士で披露しあうのも良い勉強になるだろう．どちらにしても自分が動かないと何も始まらない．地道な努力で土壌物理の世界に馴染んで欲しい． 1.2　本書の構成 鳥取大学農学部のカリキュラムでは，「土壌物理学」を2つの講義，「土壌物理学」，「応用土壌物理学」，に分けている．「土壌物理学」で土壌の保水性と透水性を主に学び，「応用土壌物理学」で溶質移動，熱の移動，蒸発散を学ぶ．本書は「基礎土壌物理学」としているが，必ずしも基礎というわけではなく，古くから土壌物理学で取り扱ってきたトピックを述べているに過ぎない．逆に，「応用土壌物理学」のテキスト（著者書下ろし）は，必ずしも「応用」的な内容ばかりではない．とはいえ，本来の土壌物理では扱っていなかった内容も含んでおり，中身のレベルもやや高度になっているので，あえて「応用」としている．いずれにせよ，「土壌物理学」と「応用土壌物理学」の両方を受講して，本当の意味での「土壌物理学」を学んだことになる．まずは「土壌物理学」を受講し，次いで「応用土壌物理学」を受講するのが望ましい． 本書では，まず，土壌に関わる基礎的事項について説明する．次いで，土壌の保水性，土壌中における水の移動に関するトピックを取り上げる．水の移動形態には飽和流と不飽和流があるが，どちらも非常に重要なトピックなので，それぞれ別の章を立てて説明している．各章末には練習問題を掲載している．過去に出題した小テストや定期試験，レポート課題が中心となっている．必ず自分の力で解いて欲しい． なお，土壌物理学には計算がつきものであり，有効数字や単位もおろそかにはできない．そこで，本書の付録にこれらのトピックについて簡単な解説を加えている．また，ギリシャ文字も記号としてふ