5－5．病院清掃清掃点検評価.pdf

北大病院感染対策マニュアル 第 6 版 ５－５．病院清掃・清掃点検評価 病院清掃の目的は，患者に対し常に清潔で衛生的な生活環境を提供し，快 適な療養生活が過ごせる場所を確保することである。埃や有機物汚染は，病原 菌を環境に生存させその伝播を助長させる。したがって，日常的な清掃を確実 に行なうことが院内感染対策上重要である。 Ⅰ．本院の一般清掃の種類 １．日常清掃の主な作業 日常的清掃業務で，掃き掃除，拭き掃除，塵埃処理 ２．定期清掃の主な作業 １）床の大洗（洗浄とワックス磨き） ２）床剥離とワックスがけ（その都度の契約） ３）ディルームのガラス磨き Ⅱ．一般清掃の基本事項 １．ダスティング（埃とり） 埃の中にはアスペルギルスの胞子（種）が含まれる。埃の浮遊により， 移植患者などの免疫抑制状態にある患者は，肺アスペルギルス症の原因に なることがある。そのため，一般病棟において，埃を除去するために静電 気ダスター等を用いて通気口や空調，ベッドランプ，コンソール，カーテ ンレール，手すりなど，埃を飛散しないよう注意深く除塵することが重要 である。 ２．ゴミ箱 ゴミ箱に付着している汚れが細菌増殖の温床になる可能性があるため， こまめに拭き掃除を行なう必要がある。 ３．拭き掃除 例えば、MRSAは乾燥した環境で30 日程度生存することが知られている。 ノロウイルスやインフルエンザウイルスなどは，環境に定着し，手指など を介して間接的に伝播する可能性がある。 したがって，高頻度に手が触れる環境表面（ベッド柵・床頭台・ドアノ 病院清掃･清掃点検評価(H28.5 改訂)-1 北大病院感染対策マニュアル 第 6 版 ブ・水道コック・手すりなど）は，EPA 又はDIN に登録された，MRSA に対 応できる除菌洗浄剤または同等品を用いて日常的に拭き掃除を行なうこと が必要である。 血液や体液の汚染のある床や壁は，必要な防護具を装着し，血液等をペ ーパータオル等で除去してから除菌洗浄剤で清拭する。 ４．水廻り 緑膿菌などは，湿潤した環境を好み，ねばねばした「ぬめり」（バイオ フィルム保護膜）を形成し環境に生存し続ける。院内で問題となる多剤耐 性緑膿菌(MDRP)が 「ぬめり」を作り，水回りに定着した場合には，手など を介して間接的に伝播する可能性がある。そのため，汚物処理室や洗面・ 手洗い所，トイレ，バスルームのシンク，排水口を含む水回りの「ぬめり」 を取り除くような清掃と換気をよくして乾燥させることが重要である。 ５．フロア（床清掃） 床は，椅子やワゴン等キャスター付きの備品は動かし，埃が蓄積しない ように隅々まで掃く。また，床は，消毒薬を用いての清掃は必要なく，除 菌洗浄剤または同等品をしみ込ませたモップを用いて清掃する。 ６．ツール（清掃用具） 洗剤などの化学製品が入った容器には，製品名ラベルを貼る。また，清 掃用具は清潔を心がけ，清掃用ジャニターカートは整理整頓する。 モップは，清潔区域と汚染区域に区別し使い分ける。モップを湿潤状態 で放置すると，細菌が増殖して汚染の原因になるため，使用後は所定の洗 濯・乾燥室で洗浄し，乾燥させる。 ７．洗剤などの化学製品の管理 清掃に用いる洗剤及び除菌剤とその容器の取扱いについては，以下の方法管 理を行う。 １）洗剤を原液から希釈する作業を行う者は，マスク着用，石鹸と流水によ る手洗い，手袋を着用し，清潔操作で作業を行うこと。 ２）希釈液は，有効期限を定め,期限を過ぎた洗剤は廃棄すること。 希釈液作成日がわかるように,作成日の明記または他のルールを決めて 運用する。 ３）希釈液を小分けするボトルは,