ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性能.pdf

報道発表資料 平成 21 年 12 月 16 日 独立行政法人 国民生活センター ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性能 －使用実態調査も踏まえて－ １．目 的 現在、我が国のコンタクトレンズ使用者は 1500 万人を超え、総人口の約 1 割がコンタク トレンズを使用しているとされる。一方で、コンタクトレンズ装用に伴う眼障害も増加傾向 （注 1） にあり、装用者の 7～10 ％に眼障害が発生していると推察されている 。国民生活セン （注 2） ターの危害情報システム には、2004 年度以降の約 5年間でコンタクトレンズによる危 （注 3） 害事例が 393 件、コンタクトレンズケア用品による危害事例が 55 件寄せられている 。 コンタクトレンズ装用による最も重篤な眼障害の一つが角膜感染症である。原因となる病 原体としては細菌、真菌、アカントアメーバ等が挙げられるが、近年特に増加しているとさ れるのがアカントアメーバによる角膜感染症である。アカントアメーバ角膜感染症は充血、 視力障害、強い眼痛等の症状を示し、失明に至るおそれもある難治性の角膜疾患である。障 害の原因としてはコンタクトレンズ装用に起因するものが 85～90 ％を占め、うち 85～ （注 4） 90 ％をソフトコンタクトレンズ装用者が占めるとされている 。 ソフトコンタクトレンズは細菌等の繁殖を防ぐ目的で装用後に消毒を行う必要がある。最 近は市販の消毒剤を用いた化学消毒が主流となっているが、特に、洗浄・すすぎ・消毒・保 存の一連のケアを一つの商品で行うことができるマルチパーパスソリューション（以下、 「MPS」とする）を使用する人が多く、ソフトコンタクトレンズ使用者の 4 分の 3 が MPS を （注 5） 使用しているとされる 。ソフトコンタクトレンズ用消毒剤は医薬部外品であり、承認 申請時には細菌、真菌、ウイルス及びアメーバに対する消毒効果に関する試験が必要である （注 6） が、アカントアメーバを含むアメーバについて、こすり洗いを含む試験法や必要とさ れる消毒効果については具体的な規定がなされていない （詳細は 24 ページ資料（1）参照）。 そこで、MPS を中心に、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消 毒効果を調べることとした。また、2 週間交換タイプのソフトコンタクトレンズ使用者を対 象とした使用実態と衛生状態の調査を併せて行い、消費者に情報提供することとした。 なお、本テストは日本コンタクトレンズ学会との共同研究で実施した。 （注 1）日本コンタクトレンズ協議会：コンタクトレンズ眼障害アンケート調査の集計結果報告. 日本の眼科 78 (9)：1378-1387, 2007 （注 2）商品やサービス等により生命や身体に危害を受けたり（危害情報）、そのおそれのある情報（危険情報） を全国の