Title多重極限下の比熱測定(強相関伝導系の物理若手夏の.PDF

多重極限下の比熱測定(強相関伝導系の物理 若手夏の学 Title 校,講義ノート) Author(s)小林, 達生 Citation物性研究 (1996), 65(4): 634-643 Issue Date1996-01-20 URL /2433/95635 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversionpublisher Kyoto University 講義ノート 多重極限下の比熱測定 阪大基礎工 小林 連生 はじめに 筆者は多重極限下の物性に興味を持ち､その最も単純かつ重要なマクロ測定の1つとして 比熱測定を行っている｡現在､筆者のグループで行われている比熱測定は強磁場(H13T)低温 (T,80mK)実験であり､圧力下 (p2GPa)の測定については開発の段階にある.重い電子系 については､特にその超伝導状態に興味を持って実験を行っている｡ このtextではまず常伝導状態の比熱を復習した後､重い電子系の比熱について述べる｡さら にその超伝導状態について筆者らの実験例を交えて考え､最後に極端条件下の比熱測定につ いて実験的なことを述べる｡ 従来の測定結果については､筆者の不勉強のために適切に参照 できない所も多いと思われるが､その点についてはみなさんの指摘を仰ぎたい｡ 1.骨伝導状態の比熱 もっとも単純な例として､低温実験でよく用いられる構造材であるcuの磁場中比熱を考え る｡筆者のグループでは試料ホルダーにCuを使っており､測定データではこの寄与を実測に より差し引いている｡まず､zero磁場での比熱は図1(a)のようにC/T-Taプロットをすると直線･ で表され､次の式に従うことがわかる｡ C= †T+βIB (1) †=7T2kJ3･P(eF),P(eF)=3N/h2kF2･m,β=127T4/50D3･R (2) この式はFermi粒子系の金属で成り立つ一般式で､eFはFermienergy､p(eF)はFemi面での FはFermi面での電子の波数ベクトル､mは電子の質量､0,はDebye温度である. 状態密度､k (1)式の第-項は電子系のFemi面からの寄与がrに比例する関数で､第2項は低温での格子比 熱が戸に比例することを示している｡格子系については､特殊な場合を除いてDebye別に従い､ 低温では戸の温度依存性を持つ｡ 磁場中(H=10T)では､図1(b)に示すように核比熱が低温で観測される｡核スピン系は外部磁 ( 4 2 u O ) N N 1 1 0 b ｢ J ∈ r ＼ ) J u J J 2 U ) E D L r ■ ､ 0 図1(a)cuのzero磁場での比熱｡(b)Cuの磁場中比熱｡低温強磁場中では核比熱が観測される｡