ア浅カ海ナマ殖試験コの生態調査.PDF

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ア浅カ海ナマ殖試験コの生態調査

ア   カ 浅 ナ マ 海   殖試験 コの生態調査 小村‘治男 は じ め に  本県沿岸漁業の採貝漁業種として重要なナマコは,アヮピ,サザエと共に高級魚介類の一つであ るが,漁獲量の長期的変動を見ると全国的にも本県に於いても減少傾向にある。このナマコについ ての資源増大対策は沿岸漁業振興にとって重要である。しかし本県の採貝漁業で漁獲されるマナマ コのうちアオナマコについては研究がある程度進んでいるが,市場価値の高いアカナマコの栽培漁 業技術についての知見は乏しい。このため,栽培漁業研究の基礎試料とするため本県産のマナマコ のうち市場価値の高いアカナマコを調査の対象とした。本年度は,1)島根県におけるナマコ漁業 の実態調査。2)高水温期から夏眠あけまでの生態調査。3)成熟調査。4)浮遊幼生調査。5) 天然採苗試験。の5項目について調査を実施したので報告する。 材 料 と 方 法 1)島根県における漁業実態  中国四国農政局島根統計情報事務所が収集した統計資料を用いた。ナマコ漁獲量の経年変化を, 表1,図3に示した。 2)高水温期から夏眠あけの生態  6月下旬に島根町多古地区の潜水漁業者よりアカナマコを入手し,0.5トン円形FRP陸上水槽 で流水飼育した。飼料はアラメ,クロメ等を随時与えた。夏眠期の8月から成熟を始める3月まで の全体重の変化を調査した。 3)成熟調査  4月上旬から6月上旬までのアカナマコの生殖腺重量と全体重及び穀蔵量について測定した。検 体は5~6月の禁漁期は特別採捕許ilfを得てスキューバ潜水により鹿島町片旬沖にて採取し,他の 月は県漁連松江市場から購入した。 4)浮遊幼生調査  4月上旬から7月上旬まで半月に11凪図1に示す鹿島町と島根町沿岸の6地点において採集を 行った。採集には北原式定量プランクトソネット(ロ匯23cm.日合NXX13)を用いて海底から水 面まで垂直曳を2回繰り返して行い,サンプルは中性ホルマリンで固定し実験室にて検鏡した。浮 遊幼生採集と同時に表層と底層の水温を測定した。                      -129 - 5)天然様苗試験  図2に示す島根町加貸地先(水深10~12m)に,付着基質としてノリ網をいれたタマネギ袋を採 苗器として用い,4月9日。5月10日,6月6日にそれぞれ1基ずつ設置した。水深別の付着状況 を見るため,採苗器を水深2.3.4,5,6mにそれぞれ1個ずつ垂下した。採苗器は10月29日 に全て回収し稚ナマコの有無,及び体長を測定した。 図1 浮遊幼生調査定点(数字は定点番号) 図2 天然採苗試験定点     -13〔〕- 結 果 と 考 察 1)島根県における漁業実態  全国及び島根県のナマコ漁獲量の長期変動を表1,図3に示した。全国のナマコ漁獲量は,昭和 43年の13,023トンから平成元年の6.504トソまで誠少し続けている。一方島根県のナマコ漁獲量は 小型底曳網漁業の漁獲量誠により昭和43年の334トソから昭和52年の93トソまで大きく減少したが, その後若干増加し。最近では120トソ前後の水準にある。また島根県の採貝漁業のナマコ漁獲量は 昭和40~50年代の50~60トソからわずかながら誠少し最近では40トy前後で推移している。なお, マナマコが市場で出回るのは主に12月から4月までで,本県の漁業調整規則で5月1日から8月31 日までナマコの採捕は禁止されている。 表1 ナマコ漁獲量の経年変化 単位: t 年度 S 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 島根県

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