日本建築学会日本地震工学会の協働による2011年トル.PDF

日本建築学会・日本地震工学会の協働による 2011 年トルコ・ワン地震の被害調査報告 横浜国立大学都市イノベーション研究 楠浩一 横浜国立大学都市イノベーション研究 田才晃 東京工業大学セキュアマテリアル研究センター 日比野陽 広島大学 大学院工学研究科 建築学専攻 渡邊秀和 東京大学生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター 沼田宗純 １．はじめに 査チームと協働して、地震被害調査チームの派遣を決 2011 年 10 月 23 日13 時 41 分（現地時間）にトルコ 定した。調査団メンバーを表 1 に示す。 東 部で 、 震 源 の深 さ 16km 、 マ グ ニ チュ ー ド 調査は、12 月 22 日にワン市中心街（図１）から開 (Mw)7.1(USGS)の地震が発生した。震央は、Van （ワン） 始し、12 月 27 日まで行われた。12 月 23 日には、ワン 市から北北東 16km に位置する。この地震により、ワ 市から北へ70km ほどのErcis 地域の被害調査も実施し ン市を中心として建物の倒壊等の甚大な被害が発生し た。Ercis 地域は、10 月 23 日の地震で大きな被害を受 た。この地震から 17 日後の11 月 9 日にもマグニチュ けた地域である。調査ルートを図2 に示す。本稿は、 ード(Mw)5.6 の余震が発生し、この余震でも甚大な被 本調査の概要を示すものである。 害が発生した。この一連の地震によりErcis-Tabanli-Van 地域は広範囲に被害を受けた。死者は、644 名であり、 10 月 23 日の地震により604 名、11 月 9 日の地震では 40 名が犠牲となった。また、重軽傷者は 2,300 名を数 え、建物被害は 14,618 棟であった。現地では、多くの 住民が住宅を失い、テント生活を余儀なくされた。 一連の地震の後、日本建築学会（以下、AIJ）および 日本地震工学会（以下、JAEE）は、トルコ共和国の調 図１ トルコ・ワン市の位置 表 1 調査団メンバー 氏名 所属 楠 浩一 AIJ 調査団長 横浜国立大学 田才 晃 横浜国立大学 （AIJ） 日比野 陽 東京工業大学 （AIJ） 沼田 宗純 東京大学 （JAEE） 渡邊 秀和 広島大学 （AIJ） Alper Ilki Istanbul Technical University (ITU) Cem Demir Istanbul Technical University (ITU) Mustafa Comert Istanbul Technical University (ITU) Mucip Tapan Yuzuncu Yil University Kutay Orakcal Bogazici University (BU) Mubin Uslu Istanbul Technical University (ITU) Hamdi Ates Istanbul Technical University (ITU) Ahmet Sahin Istanbul Technical University (ITU) 図２ 調査ルート Flexural Flexural Fle