第16章各種実験室のビジュアル、実験設備の点検.PDF

第１６章 各種実験室のビジュアル、実験設備の点検 １．労働安全衛生法などの法的要求事項とビジュアル、設備の点検方法 労働安全衛生法が平成 16 年度から国立大学にも適用されることになり、茨城大学で は、労働安全衛生法を遵法するため、労務課安全衛生係と各所の衛生管理者が各実験室 を調査し、対策を検討した。 労働安全衛生法の基本は「労働者の危険ならびに健康障害の防止」であり、この基本 は、企業の経営者・労働者向けの法規制である。大学は、学生への教育・研究の場であ り、主役は学生である。教職員は、労働安全衛生法を遵法し自らの危険ならびに健康障 害を防止することはもとより、安全衛生委員会で策定した「遵法を基にしたビジュアル と設備の点検」によって「学生の危険ならびに健康障害の防止」を実現することである。 各法の凡例を以下に示す。 安衛法：労働安全衛生法 有機則：有機溶剤中毒予防規則（安衛法） 鉛則：鉛中毒予防規則（安衛法） 特化則：特定化学物質等障害予防規則（安衛法） 有害性表示等：化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針（安衛法） 毒物劇物取締：毒物及び劇物取締法 高圧ガス ：高圧ガス保安法 農薬取締：農薬取締法 危険物の規制：危険物の規制に関する政令（消防法） 放射線障害防止法：放射線同位元素等による放射線の防止に関する法律 電離則：電離放射線障害防止規則（安衛法） 安衛則：労働安全衛生規則（安衛法） レーザー指針：レーザー光線による障害防止対策要綱 酸欠則：酸素欠乏症等防止規則（安衛法） ボイラー則：ボイラー及び圧力容器安全規則（安衛法） クレーン則：クレーン等安全規則（安衛法） 事務所則：事務所衛生基準規則 施策の基本を5 つのカテゴリーに分類した。 A.化学物質：安衛法、毒物劇物取締、高圧ガス、農薬取締 B.放射性物質：放射線障害防止法、安衛法 C.教育研究用機械：安衛法 D.業務用機械・酸欠則・事務所則：安衛法 E.一般リスク：安衛法など（点検が不要なもの） 施策内容は、ビジュアルと実験設備の点検である。 ビジュアルは各種表示であり、 1.Door(扉入口外表示) 2.Labeling(表示) 3.Operations Chief(作業主任者の職務) から出来ている。 設備の点検は、実験設備などの点検方法と点検シートであり、 1.Manual （安全作業マニュアル （日常点検）） 2.Facility Carte （月例点検） 3.法定点検（定期自主検査（年次点検）） から出来ている。 添付資料に、これらをマトリックス表にした 「表－１茨城大学・労働安全衛生関連対 応表」を掲載してある。カテゴリーを更に細分化し適用法律毎に、実験室に掲示する表 示物と実験設備の点検シートのフォームNO.を示しているので、各実験室は適用する法 律と規則を調べ、フォームNO.を確認し表示と実験設備の点検をすること。 備考の欄には実験・研究する取扱い設備、物質により法で定める特殊健康診断と作業 環境測定の必要項目を記載してあるので、これに従い特殊健康診断と作業環境測定を行 うこと。 ２．実験安全十則 実験により、被災する場合があり、この要因を調べると、 ・実験の基準を守っていなかった ・実験設備を点検していなかった ・動いている実験装置につい手を出してしまった ・機械や物質の特性を調べないで取扱い、被災してしまった ・保護具や工具を使わないで、薬傷や怪我をしてしまった などの原因を見出すことができた。 茨城大学安全衛生委員会はこれらの原因を基に、実験時の被災を回避する基本事項を 見出し層別して、実験安全十則を定めた。その内容は、 1．実験操作は基準を守ろう 2．実験装置は定期に点検しよう 3．動いている実験装置には手を出さない 4．危険物・有害物は正しく取扱おう 5．決められた保護具・工具を使用しよう 6．共同実験は互いに合図で確認しよう 7．運搬は決められた積み方、重量を守ろう 8．実験終了後はエネルギーを遮断しよう 9．危険物・有害物は保管場所に正しく保管しよう 10．異常時は直ちに先生へ連絡しよう 以上の10 項目である。 この実験安全十則を、 （1）新入学生の実験教育の資料として利用する （2）万が一事故が発生した場合、この実験安全十則のどこに抵触したのか、学生への 安全教育の足りなかった所が何なのか反省し、次回の安全教育に反映させ