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身体活動量から得られる睡眠指標および活動指標による
厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)(精神の障害/神経・筋疾患分野)
(分担)研究年度終了報告書
自律神経機能異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する
客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成
身体活動量から得られる睡眠指標および活動指標による
慢性疲労病態判別の感度・特異度の検討
主任研究者 倉恒 弘彦 (関西福祉科学大学健康福祉学部教授)
研究協力者 田島 世貴 (兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター)
研究要旨
本研究では、慢性疲労症候群における活動量睡眠指標の特徴を整理し、診断に用いた場
合の感度、特異度を評価した。慢性疲労状態のない健常人と慢性疲労症候群患者を対象と
し、非利き手手首にMicroMini(AMI社)を72時間装着し、活動量をZero crossing法で計
測した。計測値から覚醒時活動量、睡眠中活動量、総睡眠時間、居眠り回数、中途覚醒回
数、睡眠潜時、睡眠効率を求め、二群間の比較を行った。また、それらの特徴量を用いて
診断のための数理モデルを作成し、感度・特異度・判定精度を検討した。従来の報告と同
様、慢性疲労症候群において覚醒時活動量の低下、睡眠時間の増加、居眠り回数の増加が
有意に認められた。診断における感度等の検討では、線形判別式、サポートベクターマシ
ン、ランダムフォレストといった異なる手法のいずれでも感度、特異度、予測精度ともに
70~80%であった。覚醒時活動量の低下、睡眠時間の延長、居眠りの増加は疲労によるパ
フォーマンスの低下、疲労回復のために睡眠要求が増加していることを示していると考え
られる。これらの指標が診断のバイオマーカーとしてどの程度の有用性があるかを検討し
た結果では、これら単独では十分な精度を得ることが出来なかった。慢性疲労病態は複合
因子によるものであり、その他の因子を加えることで診断精度を高めたモデルが必要であ
ると考えられる。
A.研究目的 する2疾患、CFS患者、多発性硬化症(Multiple
慢性疲労(Chronic Fatigue, CF)病態は感染 Sclerosis, MS)患者と健常人の活動量の違いを
症様、膠原病様あるいは睡眠異常等の症状に加 論じている3)
。彼らの報告では、CFS患者、MS
えパフォーマンスの低下が特徴であるため、こ 患者ともに健常人より活動量が明らかに少ない
れまでにも身体活動量を指標として睡眠異常と が、自覚的疲労感と活動量の低下がよく相関し
日中のパフォーマンスに関する検討・報告がな ているのはCFS患者においてであり、MS患者
されている。我々も、代表的なCF病態である においては必ずしも疲労感とは相関がなかった
慢 性 疲 労 症 候 群(Chronic Fatigue Syndrome, ことを示した。このことは、アクティグラフは
CFS)患者において、覚醒時平均活動量の低下、 disabilityを客観的に示しているが、その原因が
居眠り回数の増加、睡眠時間の延長、中途覚醒 疲労にあるのか神経変性疾患によるのかを教え
回数の増加が有意に認められることを報告して てはくれないことを意味する。別の見方をすれ
いる1,2) ば、行動量からみた活動の制限とよく相関する
。
1997年にVercoulenらが強い疲労感を特徴と 指標は何であるかを検討することによって診断
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