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第63回庆应EU研究会
第 63 回慶應 EU 研究会
2013 年 1 月 26 日(土)
ほうじょう
放 生 朋子
The London School of Economics and Political Science
LL.M (Master of Laws)
制裁金の算定方法-制度目的達成に必要な裁量と予見可能性
本報告に至った経緯
The London School of Economics and Political Science, LL.M における修士論文。
<目次>
1. はじめに
2. 制裁金(罰金・課徴金)制度の目的並びにその達成に必要な裁量及び予見可能性
3. EU における制裁金額算定ルール
3.1 2006 年ガイドライン
3.2 2006 年ガイドライン下での事案
3.3 EU における制裁金額算定ルールの実効性
4. 米国における罰金額算定ルール
4.1 米国連邦量刑ガイドライン
4.2 米国連邦量刑ガイドライン下での事案
4.3 米国における罰金額算定ルールの実効性
5. 日本における課徴金額算定ルール
5.1 独占禁止法 7 条の 2 その他関連規定
5.2 独占禁止法関連規定下での事案
5.3 日本における課徴金額算定ルールの実効性
6. 比較(差異と原因)
7. おわりに
1. はじめに
(1) 研究動機及び研究目的
EU における制裁金額の増額傾向。
2010 年の欧州委員会による調査(対象:実務家及び企業):
2006 年ガイドライン下における制裁金額の予見可能性の難しさ。
∵上下限と増減額要素を示すにすぎず、確定額を定める形式をとっていない。
→ ①2006 年ガイドライン下における欧州委員会の裁量と予見可能性の度合い。
②その裁量と予見可能性が制度目的達成のために適切といえるか。
1
(2) 研究手法
EU ・米国及び日本の比較研究の少なさ。
世界でも稀な算定方法を採用している日本(=公取にほとんど裁量がない)。
→ EU ・米国・日本の各制裁金・罰金・課徴金額算定ルールの比較研究。
2. 制度目的並びにその達成に必要な裁量及び予見可能性
(1) 制度目的
違法な反競争的行為の抑止。
∵【EU】「101(1)条及び 102 条に定められている禁止規定の遵守の担保」(EU 機能
条約 103(2)(a) 条)。「制裁金賦課の目的は違法行為の抑止である」 (ACF
Chemiefarma v. Commission (ECJ)) 。
∵【米国】理想的な市場競争条件の実現ではなく違法行為の抑止や違法行為がもた
らす影響の排除であるとする有力説。
∵【日本】「カルテルの摘発に伴う不利益を増大させてその経済的誘因を小さくし、
カルテルの予防効果を強化することを目的」(
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