初和古墓.PDF

岡山県埋蔵文化財発掘調査報告 243 初 和 古墓 一般国道313号（北条湯原道路）道路改築に伴う発掘調査 ２０１６ 岡 山 県 教 育 委 員 会 巻頭図版1 １　遺跡遠景（東から） ２　塚１・２調査前（西から） 巻頭図版2 １　塚１宝篋印塔と南石塔集積（南西から） ２　塚１断面（西から） 序 　北条湯原道路は、米子自動車道の湯原インターチェンジと国道９号北条インターチェンジ を結ぶ延長約50kmの地域高規格道路で、岡山県北部と鳥取県中部の交流促進を目的として計 画されました。この北条湯原道路の一部である真庭市蒜山初和～蒜山下長田間の国道313号 初和下長田道路は、従来から幅員が狭く車両通行に支障を来していたため、現道の拡幅及び バイパス化が行われることになり、平成24年度から事業が着手されました。 　岡山県教育委員会では、この路線内に位置する初和古墓について、関係部局と協議を重ね てまいりましたが、現状のまま保存することが困難な部分についてやむを得ず記録保存の措 置を講じることとし、発掘調査を実施いたしました。 　調査の結果、調査範囲で２基の塚を確認しました。このうち塚１は、南北6.2ｍ以上、東西 5.5ｍ以上、高さ1.9ｍの方形であることがわかり、盛土の下に1.7×２ｍ、深さ1.6ｍの方形の 穴が１基掘られていました。塚１に直接伴う遺物の出土はありませんが、周辺に集積された 宝篋印塔と多数の五輪塔は、その規模・形状からほとんどが16世紀後半のものと考えられま す。塚１の築造時期もこうした石造物の時期に近いことが推定され、類例の少ない中世末の 塚墓の調査例として貴重であると言えます。 　本書が地域史研究の資料として、また文化財保護の一助として活用されることを期待いた します。 　発掘調査及び報告書作成に当たりましては、美作県民局をはじめとする関係機関や地元住 民の皆様から御理解・御協力を賜りました。ここに厚くお礼申し上げます。 　平成28年12月 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岡山県古代吉備文化財センター　　 所　長　宇　垣　匡　雅　 例　　　言 １　本書は、一般国道313号（北条湯原道路）道路改築に伴い、岡山県教育委員会が岡山県美作県民 局建設部の依頼を受け、岡山県古代吉備文化財センターが実施した、初和古墓の発掘調査報告書 である。 ２　発掘調査を実施した初和古墓は、真庭市蒜山初和479-1ほかに所在する。 ３　発掘調査は、平成27年10月から12月に文化財センター職員氏平昭則、石田爲成が担当して実施し た。調査面積は420㎡である。 ４　発掘調査及び報告書作成にあたっては、埋蔵文化財専門委員の稲田孝司氏から御指導と御助言を 頂いた。記して深く感謝の意を表す次第である。 ５　本書の作成は、平成27年度に氏平が担当し、文化財センターにて実施した。 ６　本書の執筆は、調査担当者が分担して行い、全体の編集は氏平が行った。 ７　本書の作成にあたり、石造物の石材の鑑定を岡山大学鈴木茂之氏に依頼して有益な御教示を受け た。記して厚くお礼申し上げる。 ８　遺物写真の撮影にあたっては江尻泰幸の協力と援助を得た。 ９　本書に収載した遺構・遺物の図面・写真等は、岡山県古代吉備文化財センター（岡山市北区西花 尻1325-3）に保管している。 凡　　　例 １　本書に用いた高度値は海抜高である。 ２　調査区配置図・遺構図が示す北方位は平面直角座標第Ⅴ系（世界測地系）の座標北である。 ３　調査区配置図・遺構図・報告書抄録に記載したグリッド値・経緯度は世界測地系に準拠している。 ４　本報告書に掲載した遺構・遺物の縮尺は、個々に明記した。 ５　掲載の石造物は、