広岛大学附属三原学校园研究纪要第62016pp.111.PDF

6 1 1 1 1 1 . p 広島大学附属三原学校園研究紀要第6集 2016 p 理科 地震・津波避難に対する児童の意識の分析と学習内容の検討 －質問紙調査への小学6年生の回答をもとに－ 一田幸司 1 問題の所在と研究の目的 創立記念日である 7月1日を「減災の日」と定め， 幼小中合同の地震・津波避難訓練や防災教育，職 1日，東日本大震災に襲われた 員研修を開始した。また，本学校園の理科部は， 3年3月 1 平成2 地域は甚大な人的・物的被害を受け，多くの園児 小・中学校理科における地震・津波災害に対する や小・中学生も地震や津波に遭った。そのような 科学的な見方や考え方の育成に関する研究を平成 ）。理科部の研究の中では， 中で起きた「釜石の奇跡」と呼ばれる事例からは， 26年度に行っている 3 我々教育関係者は大きな示唆を得ることができる。 小学6年生と中学1年生に対して質問紙調査を行 岩手県釜石市内では，登校していた小・中学生が， い，それらの回答を教師側が設定した望ましい行 教師の指示を待つことなく自主的に避難を開始し， 動と理由・根拠に照らし合わせ，評点によって分 全員自らの命を守ったという。さらには，津波が 析を行った。理科部の研究では報告していないが， 来ることを知らせたり避難を促したりする声を周 子どもの回答を読む中で，筆者が分析を担当した 囲へかけながら，園児や高齢者の避難の手助けも 小学6年生では，地震や津波からの避難に対する していたことが報道されている。これらの小・中 意識に個人差や誤りであると考えられる点がある 学生の行動は， 「津波てんでんこ」など家庭や地 ことが明らかになった。 域でも行われてきた防災教育や避難訓練の成果で 小学校理科における防災教育をさらに充実させ あると考えることができる。 るためには，どのような学習内容が適当であろう 東日本大震災を契機に，学校には防災教育のさ か。勿論， 「津波てんでんこ」などのように教訓 らなる充実が求められている。文部科学省は，学 として教えるべき重要な内容もあろうが，個々の 校防災のための参考資料として『「生きる力」を 子どもがもっ，地震や津波からの避難に対する意 ）し，平成25年3月 識に応じて学習内容を開発していくことも必要で 育む防災教育の展開』を改訂 l に全国の学校園へ配布するなど，様々な取り