2012年-日本石油贩売.PDF

2 0 1 2 平 成 ２ ４ 年 の 提 言 段階的消費税増でデフレを脱出しよう １．技術開発による米国のシェールガス革命 ２．ロボット技術による生産設備の日本回帰 ３．流動性の罠にもがく世界経済の停滞 ４．日本も流動性の罠から脱出するためにインフレを 5．デフレスパイラルからの脱出法 6．究極のインフレ策としての段階的消費税増 7．世界経済の機関車として NE 日 本 石 油 販 売 株 式 会 社 エナージエンヂニアリング株式会社 〒104-0033　東京都中央区新川2丁目1番7号 TEL　03－3552－0341　FAX　03－3552－0346 h t t p : / / w w w . n i h o n s e k i y u h a n b a i . c o . j p / 段階的消費税増でデフレを脱出しよう １．技術開発による米国のシェールガス革命 　昨今日本でも報道されている通り、米国ではシェールガス革命が起きている。従来のガ ス田より深い地層にあるオイルシェール（油母頁岩）に含有されている天然ガスを、安価 なコストで大量に掘り出す技術が開発され、米国では天然ガスが供給過剰になっている。 ２００８年のエネルギー高騰時には、ＷＴＩとともに高騰していた天然ガス価格だが、その後 は商品や原油高騰の影響をほとんど受けなくなり、原油換算で２５＄/Ｂ弱で安定している。 　このシェールガスなど「非在来型」といわれる地層に含まれている天然ガスの埋蔵量が膨 大であることは過去から知られており、現在世界で発見されている「在来型」天然ガス確認 埋蔵量の６倍にも達すると見込まれている。しかしこれまでは、回収することは困難でコスト がかかりすぎるとして、確認埋蔵量の計算からも除外され、エクソンモービルでさえ技術開 発に手を出さなかった。 　チェサピーク、ＸＴＯエナジーといった中堅企業が、２０年かけてこつこつ磨いてきた技術 が遂に花開き、カタールからＬＮＧを輸入しようとして米国沿岸に新設された数多くのＬＮＧ 輸入基地には閑古鳥が鳴いている。すでに米国で生産される天然ガスの１/４が非在来型 の天然ガスとなり、エクソンモービルは２００９年末になんと４１０億＄でＸＴＯエナジーを買 収して、その技術と鉱区を手に入れた。 　シェールガス革命は、水平坑井掘削技術【＊１】、水圧破砕技術【＊２】、マイクロサイミックス【＊３】 という３つの技術の開発によってもたらされ、天然ガスの可採年数はこれまでの６０年から、 その何倍かに増えることになりそうだ。エネルギー革命といわれる所以である。「非在来型」 のガスは北米だけでなく、オーストラリア、中国、南米、ロシア、中東、欧州にも分布してお り、いま世界中で上記３つの技術がエネルギー革命を起こそうとしている。 　近年はこの３つの技術が、シェールガスならぬシェールオイル開発にも向かっており、北 米での石油掘削リグ数は１０００本を越えた。原油が１４７＄/Ｂに高騰した２００８年のピーク 時の４２６本に比べても倍以上になっている。その結果これまで減り続けていた米国の産油 量は数年前の７００万Ｂ/Ｄから８００万Ｂ/Ｄへと久方ぶりに増加し始めている。米国のＷＴＩ の価格が、日本に輸入されるドバイ原油よりも２０＄/Ｂ近く安くなった理由のひとつである。 　また日本企業も次々、北米でのシェールガス開発に投資を始めており、米国で生産され た天然ガスがＬＮＧに液化され、閑古鳥の鳴くＬＮＧ輸入基地から、逆に日本へ輸出される 日も遠からず来るであろう。（残念ながら液化コスト、ＬＮＧ船の輸送コストは、今の米国天 然ガス本体の価格よりも高く、日本着のＬＮＧ単価は米国のように安くなることはない。） 　　米国の経済はサブプライムローンバブルの後遺症にまだまだ苦しんでいるとはいえ、米 国の資源産業は新たに大きな雇用を生み出しており、その革命的に安いエネルギーコスト が米国産業を力強く支えている。もう少し時間がかかるかもしれないが、必ず米国経済は立 ち直るし、円高がいつまでも続くわけではない。 【＊１】水平坑井掘削技術・・地上から縦に掘り進んだ井戸を途中で９０度曲げて、オイルシェール層 　　　　　　　　　　　　　　　　　に沿って水平に