有 机 吸 光 光 度 法 - J-STAGE Journals.PDF

546 有 機 吸 光 光 度 法 上 田 陽* をあ らわすには吸光度 または吸光係数 を,吸収されなか 1 序 論 った光の量をあ らわす には透光度 を用いる*.前者に よ 溶液中のある成分が光線 を吸収す る度合 を測定 して, る曲線を吸収 曲線(absorptioncurve),後者に よる曲線 を透過曲線(transmiSSiOnCurVe)とい う. その成分 を分析す る方法を吸光光度法(absorptiometry) とい う.この分析法は対象に よって有機吸光光度法 と, 吸光度(Absorbancy)とは,対照物質(多 くの場合は 無機吸光光度法 に大別 され,ま た測定に使用す る光線の 溶媒)を 通過 した光の強 さを 為,試料物質(多くは溶液) 波長に よって紫外 ・可視部吸光光度法 と,赤外部吸光光 を通過 した光 の強 さをIと した とき, 度法に分け られ るが,通 常は紫外 ・可視部吸光光度法を (2-1) 意味す る・ 吸光光度法は古 くか ら用い られてい る基本的な分析方 であらわ され る量をいい,通常測定機器 の 目盛 りから直 法であるが,近 年機器が著 しく進歩 したためきわめて鋭 接得 られ る. 敏,迅 速で正確 な方法 となってい る.特に紫外部での測 吸光度 をその物質の濃度6と 液層 の厚 さ(光線の通過 定が容易 になった ことは,単 に定量の応用面 を広げただ す る距離)lで割 った値 を吸光係 けに とどまらず,有 機分子 の構造決定 をは じめ,種 々の ent)とい う.この とき濃度 をモル濃度,lをlcmと し 理論的研究 に有力 な手段 を提供 してい る. て求めた値 εをモル吸光係数,濃 度 を1%,1をlcm 有機吸光光度法 を応用面か らみ る と,最も広 く用い ら として求めた値E1%1cmをE-値とい う.E値 は分子量 れ るのは これ による定量分析 である。もちろん定性的な 応用面 もゆるがせ にできないが,こ の講座 では,も っぱ ら定量分析 に主眼を置 くこととしたい.し たがって,そ (2-2) の他 の応用 については他 の書籍 を参考 にしていただきた い. (2-3) ここでは,は じめに光線の吸収機構 をごく簡単に説 明 し,化学構造 との関連 についても若干の説 明を加 えたの が不 明の場合 に便利 である.モル吸光係数 は104程度の ち,実 際に定量分析を行 な う際に問題 となる事項 をやや 大 きさになる場合があるので,吸 収スペ ク トル を描 く場 詳 しく述べ,最 後に若干の例 をあげたい と思 う.有機吸 合 にはその 常用対数10gε を用い るのが普通である. 光光度法 とい って も,実際の操作は無機吸光光度法 と異 I/I0の値