五十岚淑郎氏.PDFVIP

2016 年度日本分析化学会学会賞受賞者 五十嵐 淑 郎 氏  GARASHI  Shukuro I   茨城大学工学部教授   年 月 日北海道陸別町生まれ， 年北海道大学大学院工学研究科応用化学専攻博士 1952 8 3 1981 課程修了，工学博士。同年東北大学工学部応用化学科助手，1990 年東北大学工学部応用化学科 講師，1993 年茨城大学工学部物質工学科助教授，2001 年茨城大学工学部物質工学科教授，2005 年茨城大学工学部の改組により生体分子機能工学科教授，現在に至る。この間，1986 年～1987 年米国・ウェイクフォーレスト大学博士研究員，2000 年～2002 年日本分析化学会「Anal. Sci.」 誌編集委員，1987 年日本分析化学会奨励賞受賞，2001 年国際分析化学会議Analytical 賞受賞， 年日本分析化学会フローインジェクション分析学術賞， 年第 回 Sciences 2008 2014 11 茨城地区分析技術交流会実行委員長，2015 年本会関東支部副支部長。 【業 績】 フィリンを用いる分析法の多くは，HPLC, FIA，蛍光分析， 室温りん光分析，およびストップトフロー法などにおいて，初 超微量分析を志向する新規な化学反応の発見と分析シス めてポルフィリンが分析試薬として用いられたものである。分 テムの創成 析対象は，金属イオンに限らず，陰イオン（ 2 － －），血清ア S , I 五十嵐淑郎君は，ポルフィリンを中心とする高感度試薬の計 ルブミンや核酸（DNA, RNA），さらには，動脈硬化症の病巣 測機能の向上を目指した基礎的研究を進めると共に，そのフッ に集積するポルフィリン造影剤などがある。これらの成果は， 素誘導体の研究からイオン会合体の液相分離現象によるイオン ポルフィリン研究に新しい方途を拓いた。 液体相の発見を経て超高倍率濃縮ができる化学システムを開発 した。また，錯体の酸化分解反応における触媒種の自己増殖現 )～ ) 23 27 3. 自己触媒反応と簡易分析 象など新規な化学反応を利用する高感度計測法を創出し，その この反応の信号時間曲線は，触媒化学種の初濃度に依存し 実現に向けた系統的な研究を展開して溶液分析化学の領域に大 て誘導期間が異なるが，その急変部の形状には変化がなく，一 きな可能性を拓いた。これらの内容を以下に要約して紹介する。 定の信号強度変化が観測できる。したがって，その初濃度を，