自然史研究31-III-2012.PDF

ISSN 0078-6683 VOL.３，No.12 31-III-2012 自然史研究 大阪市立自然史博物館 SHIZENSHI-KENKYU, Occasional Papers from the Osaka Museum of Natural History 大阪府のため池に生息する繁殖期の水鳥の分布 大阪鳥類研究グループ * Distribution of the breeding water birds in ponds of Osaka Prefecture. Osaka Bird Study Group Abstract ：The distribution of breeding water birds was investigated in 1178 ponds of Osaka Prefecture, from April to August in 2000. Among 45 recorded species, 15 species were bred in the ponds. Little Grebes, Spot-billed Ducks, and Moorhens were the most common breeding birds in the ponds. Ten breeding colonies of herons were also recorded. The breeding of introduced species, Mute Swans and Domestic Ducks, were confirmed. 抄録 ：2000 年４月〜８月に、大阪府内 1178 ヶ所のため池の鳥類の分布調査を行った。45 種が記録され、15 種の 繁殖が確認された。10 ヶ所以上で繁殖が確認されたのは、カイツブリ、カルガモ、バンの３種であった。サギの繁殖 コロニーが 10 ヶ所記録された。移入種であるコブハクチョウとアヒル・アイガモの繁殖も確認された。 Key Words ：breeding water birds, pond, distribution, Osaka はじめに を把握して、今後につなげる必要があると考え、今回、 　大阪府には 1999 年時点で 11230 ヶ所のため池があ 大阪府内のため池に繁殖期に生息する水鳥の調査を行っ り、これは兵庫県や香川県などに続いて全国５位の多さ た。 であるという（浜島 2001）。ため池は、淡水環境に生 息する鳥にとって重要な生息環境の一つだが、埋め立て 調査方法 などでその数は減っている。日本全国でため池は減少し 　調査は、大阪鳥類研究グループのメンバー 23 名が大 ているが、大阪府内のため池の減少は著しく、1979 年 阪府下の地域を分担して、2000 年 4 月 1 日〜 8 月 10 からの 10 年間の間におよそ 51％にまで減少したとい 日の期間に行なった。調査者が調査方法を正確に理解し、 う（浜島 2001）。これはため池に生息する水鳥にも影 また識別力の向上を図るために、4 月 30 日に研修を行っ 響を与えているに違いない。日本全国での分布調査の結 た。一部、研修以前にも調査は始めているが、ほぼすべ