高压力下の固体の水への溶解度 - j-stage journals.pdf

特【集 】 Netsu Bussei 7 •k1•l (1993) 36/40 高圧力下の固体の水への溶解度 澤村精治 立命館大学理工学部 〒603-77京都市北区等持院北町56-1 高圧力下の固体 の水への溶解度 を (1)高圧溶解度測定法 (2)有機化合物の溶解度 (3)無機 化合物 の溶解度に分けて、デー タも含めて紹介 した。熱力学的には圧力 と体積 は相補 的関 係 にあ り、高圧力下の溶解度か ら体積 の情報 が得 られ る。逆 に体積の情報か ら高圧力下の 溶解度が推定できうることお よびそこでの注意点 を示 した。 1.はじめに を通 して圧力ポ ンプと圧力計 につながれている。圧力ポン 本稿では相平衡の中でも固-液平衡 として固体の溶解度 プか ら圧縮油 (ケロシン)を(C)へ押 し込み、 ピス トン をとりあげる。 この分野の研究 は歴史が長 く、多 くの総説 (E)を介 して(B)の試料溶液 を加圧することになる。 (J) やデータ集があ り[1-7]、全体 を網羅す るような総説 は意 は高圧バルブで、 これを緩めると (K)から試料溶液が出て 味がない と考 える。そこで、 これまでに余 りまとまった総 くる。 (H)は固体 と溶液の分離のためのガラスフィル ター 説 のない高圧力分野に注 目した。熱物性ハン ドブ ック[7] である。飽和溶液 をとり出す ときは、圧力ポ ンプで(C)(B) が非水溶媒系の高圧溶解度を とりあげていたのに対 し、水 の圧力を維持 しなが ら少 し(J)を緩 めて試料 をとり出す。 への固体 の高圧溶解度 についてのデータをま とめた。高圧 この ときバルブ(J)か ら先は常圧であるが、試料室(B)か 力下の溶解度は最近、圧力晶析法の発展 [8]や、食品の加 らバルブ(J)までは高圧 が維持されており、 (H)での分離 圧殺菌法 の確立 [9]とともに、産業分野での基礎デー タと 操作は高圧下でおこなえる。 この高圧容器全体 を恒温水槽 して重要性 を増 しつつ ある。本稿では (1)高圧溶解度測定 中のシーソーにのせて攪拌す る。飽和 までには短 くて半日、 法、(2)有機化合物の溶解度、 (3)無機化合物の溶解度、 長い と1週間以上必要な化合物の場合 もある。 について紹介す る。 3.有機 化合 物 の水 へ の溶解 度 2. 高圧溶解度測定法 固体 の溶解度 の圧 力係 数 は熱 力 学 的 には (1)式の よ うに 固体 の溶解度の測定では結 晶と水の 「攪拌」 分「離」お 表 され る [15,16]。ここでXsは溶質 のモル 分 率 単位 の溶解 よび 「濃度測定」が基本操作 になる。 このうち前2者が高 (∂Xs/∂P)T=-ΔV/(∂μ/∂x)P,T (1) 圧力下でおこなわれねばな らないことが、高圧力下での実 度 、 μは化 学 ポテ ンシャル、 ΔVは 固体 か ら飽 和溶 液 へ の 験の難 しさであろう。過去の報告を見 ると、高圧容器 内で 飽和溶液 を調製後、常圧 に戻 してか ら試料を分離 したり [10,11]、高圧容器が重いので攪拌す ることな しに、 じっ と拡散で飽和溶液になるのを待つ とい う方法 (実際にはこ の方法がかなり多い)で行なわれてきた。飽和濃度は取 り 出 した試料の乾燥重