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（ 実 践 編 ） １ 浴槽水のレジオネラ属菌対策 - 29 - １ 浴槽水のレジオネラ属菌対策 平成１０年５月、都内の特別養護老人ホームにおいて、入所者１名がレジオネ ラ肺炎で亡くなる事故が発生し、これが社会福祉施設における初めての死亡事故 となりました。その後、各地の入浴施設などでも同様の死亡事故が相次ぎ、平成 １４年７月には宮崎県内の温泉入浴施設において、２９５名が感染し７名の方が 亡くなる大事故が起きてしまいました。感染源はいずれも循環式浴槽で、浴槽水 の消毒や換水などの衛生管理が不十分であったことが原因でした。 このような事故を起こさないためには、循環式浴槽の各装置の仕組みや役割を 理解し、レジオネラ属菌を増殖させないための管理が必要になってきます。計画 的な維持管理を行い、レジオネラ属菌による感染症を未然に防止しましょう。 循環式浴槽の仕組みと各装置の役割 浴室 機械室 消毒装置 ろ過器 循環ポンプ 浴槽 集毛器 ①集毛器・・・髪の毛など大きなゴミを除去します。 網ｶｺﾞ 集毛器内部 網カゴ ②ろ過器・・・微小な繊維など小さな汚れを除去します。 ろ材 - 30 - ろ材の種類 ア）砂・・・天然や人工の砂 →ろ材表面には汚れが堆積してくるため、定期的な※逆洗が 必要です。 汚れ 通常時 逆洗時 ※逆洗・・・通常とは反対に循環させて、ろ材表面の汚れを排出すること イ）珪藻土・・・繊維でできた膜に珪藻土を付着させ、ろ過膜にしたもの →逆洗できないため、定期的に汚れた珪藻土は洗い落とし、 新しい珪藻土を付着させる必要があります。 珪藻土 ウ）カートリッジ・・・繊維等を糸巻き状に巻いたものやジャバラ形にした もの →一般的に逆洗機能がないため、カートリッジの定 期的な交換が必要です。 繊維 注意 の砂の中でもセラミックボールなどは、人工 その表面や内部に微生物を 増殖させ、水中に溶け込んだ有機物等を分解させる生物浄化方式です。こ の場合、塩素消毒ができないだけでなく、生物膜にレジオネラ属菌の繁殖 も許してしまうことになるので、望ましい方式ではありません。 セラミックボール 拡大すると 生物膜 - 31 - ③消毒装置・・・細菌やウイルスを殺します。