病害虫発生予察特殊报第1号.PDF

平成２１年９月２５日 予察情報２１－２４ 病害虫発生予察特殊報 第１号 富山県農林水産総合技術センター所長 キク茎えそウイルスのキク、トマト、アスター、トルコギキョウ での発生について １ 病 害 虫 名：キク茎えそ病 トマト茎えそ病（仮称） アスター茎えそ症 トルコギキョウ茎えそ症 ２ 病原ウイルス：Chrysanthemum stem necrosis virus (CSNV) ３ 作 物 名：キク、トマト、アスター、トルコギキョウ ４ 発 生 経 過 （１）2009 年５月、富山県富山市のトマトおよびキク苗において、えそ症状を呈する株 が発生した。抜き取り株をＲＩＰＡ法により検定したところ、TSWV､CMV､TMV､INSV のいずれも陰性反応であったが、接種した検定植物（タバコ）に激しいえそ症状の 発生を確認した。そのため、当センター園芸研究所で、RT-PCR 法による遺伝子 診断を実施した結果、キク茎えそウイルス(CSNV)が検出された。 （２）2009 年９月、先にトマトで CSNV の発生した農家においてアスターとトルコギキョ ウに、えそ輪紋症状を呈する株が発生した。当センター園芸研究所で、RT-PCR 法による遺伝子診断を実施した結果、両者からキク茎えそウイルス(CSNV)が検 出された。 ５ 病 徴 等 （１）キクでの病徴は、茎に明瞭なえそ症状、葉には退緑・えそ症状を生じる。 （２）トマトでの病徴は、茎葉や葉柄のえそ・黄化･褐変、果実の着色不良・えそ・変形、 生長点付近のえそ・萎縮・褐変であり、トマト黄化えそウイルス(TSWV)によるトマト 黄化えそ病と類似している。 （３）今回確認したアスターおよびトルコギキョウでの病徴は、茎葉や葉柄のえそ・黄 化･褐変である。 （４）本ウイルスは、ミカンキイロアザミウマによって媒介される。 （５）これまでに国内においてアスター及びトルコギキョウでの CSNV の発生は報告さ れていない。 図１ ＣＳＮＶによるキクのえそ症状 図２ キクの葉の病徴 図３ ＣＳＮＶによるトマトのえそ症状 図４ ＣＳＮＶによるトマト果実のえそ症状 図５ ＣＳＮＶによるアスターの病徴 図６ ＣＳＮＶによるトルコギキョウの病徴 ６ 防除対策 （１）発生ほ場では、発病株を抜き取り、保毒虫を飛散させないように直ちにビニール 袋に入れて密封し、枯死後、適切に処分する。 （２）媒介虫であるミカンキイロアザミウマの防除を徹底する。 （３）ミカンキイロアザミウマの防除に当っては、薬剤による防除だけでなく、ハウス開 口部への防虫ネット被覆により成虫の侵入を防止する。 （４）ほ場内及び周辺の雑草はミカンキイロアザミウマの繁殖場所となるので、施設内 外の除草を徹底する。 （５）耕種