第十四号-黑川古文化研究所.PDF

号 四 十 第 宋代文人士大夫の詩文集にみる絵画関連資料 北宋編２ 竹 浪 遠 今回の収録範囲 本号では『四庫全書』に収録される北宋の詩文集124種のうち、29蘇舜欽『蘇学士集』から40陶弼『邕 州小集』までの計12人分を取り上げる。そのほとんどが11世紀の第１四半期に生まれており、北宋中 期（11世紀前半）から後期（11世紀後半）にかけて活動した人物たちである。慶暦年間（1041～48） の進士及第者が７名おり、王安石の新法に批判的な態度をとった人物（陳襄、司馬光、趙抃、劉攽） が散見されるのも特徴である。 収録人数は、前回（28名）の半分以下であるが、紙数はむしろ微増したのは、北宋中期から後期へ と移行するこの時期の士大夫たちの絵画に対する関心の拡大を反映しているとみられる。蘇頌、王珪、 さらには『資治通鑑』の編纂者の司馬光のように神宗朝～哲宗朝に宰位にまで昇りつめた人物がいる 一方、黄庭堅の父・黄庶のように地方官として、或いは李覯のように一学者として生涯の大半をすご した者もいる。採録記事は、宮廷の作画に関わる記録、在野の画家との交流、宮中や士大夫の書画コ レクションについてなど多彩であり、文人たちの日常に絵画が様々なかたちで存在していたことを垣 間見せてくれる。 凡 例 ・各詩文集は『景印 文淵閣四庫全書』（台湾商務印書館、1986年）の収録順とし、作者（生没年）『書名』巻数を挙 げたうえで、著者の略伝を付す。 ・抽出した絵画関連の記事を順に掲載する。第１列（最左列）にその文集ごとの記事の順番を挙げ、第２列に収録巻 数を記載し、第３列に詩文の題名を挙げる。 ・第４列に本文を引用する。短いものや必要と判断したものは全文を挙げ、省略可能なものは節録する。 ・記事は、実作品、画家、制作、収蔵、鑑賞に関するものを中心に採録する。「図」と表記されるものは、地図や系図 なども含め、極力採録する。また、「如画」のような、絵画を引き合いに出した修辞は、例えば水墨山水、名所図の ような何らかの具体性を持つ場合に載せることとし、漠然と絵画を指す場合は原則省略する。 ・絵画と関わりの深い書や文房具、あるいは彫刻、工芸、考古、造園、園芸等の記事も、紙数に配慮しつつ、極力掲 載する。 ・第３、４列とも原典の割注には〈〉を用い、省略や報告者の補足には（）を用いる。用字については新字体を原則 とし、標点については主に『全宋詩』（北京大学出版社、1991～98年）、『全宋文』（安徽教育出版社・上海辞書出版社、 2006年）、『全宋詞』（中華書局、1979年〔1940年初版〕）を参考に「、」「。」を付す。 ・第５列には、なぜその記述を引いたのかを示す主要な語句を載せる。前後の文脈が必要の場合には、詩句や文章ご と引用する。絵画関連以外で立項された記事に限って〔〕の中にそのカテゴリーを付す。 ・第６列には、その文献が『全宋詩』、『全宋文』、『全宋詞』に収録される巻数（全宋詞は冊数）を記載する。 （1） 261 表 宋代文人士大夫の詩文集にみる絵画関連資料 北宋編２ 29 蘇舜欽（1008～48）『蘇学士集』十六巻 字は子美。原籍は綿州塩泉（四川省）だが、開封（河南省）に生まれた。北宋前期の副宰相を務めた蘇易簡 の孫。景祐元年（1034）の進士。范仲淹の推挙で集賢校理・監進奏院となるも、慶暦四年（1044）、疑獄事 件にまきこまれて官籍を剥奪され、蘇州（江蘇省）に滄浪亭を築き隠棲した。八年に官を復されたが、病の ために卒した。詩にすぐれ、梅尭臣と並称された。『宋史』442。『全宋詩』309～316。『全宋文』874～881。 後寝蔵衣冠、前廟宅神主。吾聞諸礼経、此制出中古。 秦嬴食失法、乃復祭於墓。漢衣以月遊、於道蓋無取。 宣帝尊祖廟、失制徧九土。孝元酌前文、一旦悉除去。 魏帝楽銅台、遺令〈平〉置歌舞。昏嗣竟従之、此事 狂夫阻。唐制益紛華、諸陵鎖嬪御。曠女日哀吟、於