单一金ナノ粒子を用いた光热效果 - 光应用工学科 - 德岛大学.pdf

特 集 ナノ粒子創製と応用の最前線 単一金ナノ粒子を用いた光熱効果 *1 *2 橋 本 修 一 ・瀬戸浦 健 仁 ・ Shuichi Hashimoto Kenji Setoura 1 2 ■ 徳島大学工学部光応用工学科 * 教授 理学博士 * 博士前期課程2 年 ■ が進行している． １．は じめ に われわれは，これまでレーザーとの相互作 1990 年代より金ナノ粒子をはじめとする 用による金ナノ粒子の光熱効果について研究 4) 貴金属ナノ粒子の研究が爆発的に展開してい してきた ．本稿では，単一粒子レベルでの る．金ナノ粒子の伝導電子は可視光と強く相 研究に焦点を当て，その意義を明らかにした 互作用し，共鳴波長で強い吸収および散乱を い．一般に，金ナノ粒子はコロイド分散液， 1) 示すことは古くから知られている ．金ナノ ポリマー・ガラス中分散，透明基板上への分 粒子分散液やステンドグラスが透過光に対し 散状態などの多数の粒子に対して光吸収，光 て赤色に見えるのはこのためである．貴金属 散乱などの光学的情報を得る．これは，S/N ナノ粒子のごく近傍(近接場)において光を集 比の高いスペクトル情報を得るためである． めるアンテナ効果は光エネルギーの高効率な しかし，分子の場合と異なり，金ナノ粒子で 利用の可能性を開くと期待されている．この は粒子の形状 ・サイズ，凝集状態，周囲屈折 ような光電場の増強効果，すなわち，プラズ 率によってスペクトル情報が著しく影響を受 1) モン増強に基づく表面増強ラマン(SERS)， ける ．このため，合成技術やサンプル作製 蛍光増強，光電変換およびプラズモン太陽電 技術の違いにより，得られるスペクトル情報 池は光科学およびフォトニクスの分野におけ が著しく異なってしまう問題点があった．こ る新たな研究展開を予感させるトピックとな の限界を打破するため，単一粒子レベルの光 りつつある．一方，金ナノ粒子の発光量子収 吸収，光散乱，発光などの光学計測が行われ 6 2 4  － ) ) 率は著しく低い( ＜10 ) ．このため，金 るようになった ．しかし，単一粒子計測で ナノ粒子を光励起した場合，吸収した光エネ は，1 つ1 つの実験データがまったく同じに ルギーは効率よく熱に変換される．これは， はならないことから，たくさんの粒子に対し 光熱効果または光熱変換，光熱応答として知 て同一の測定を行い，統計処理により意味あ られる．金ナノ粒子の光熱効果はナノ治療へ る物理量を得るプロセスが必要である．