地すべり面が露头した全国的にも类をみない大规模地すべり灾害に挑む！.PDF

地すべり面が露頭した全国的にも類をみない 大規模地すべり災害に挑む！ 1 2 渡邉 敦宏 ・中濱 早苗 1福島県 土木部 技術管理課 （〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号） 2福島県 土木部 まちづくり推進課 （ 同 上 ）. 2011年4月11日に福島県いわき市の内陸部において、活断層の活動を誘因とした最大震度６弱 （M7）の直下型地震 （3月11日の余震）が発生した。この地震により重要港湾小名浜港と福島県 中通り地方の物流拠点を連携する幹線道路で大規模な地すべり災害が発生し通行止めとなった。 本報は、物流ルートの回復と津波被災を受けた沿岸部の早期復旧工事に寄与するため、余震 が続く中、作業員の安全確保を第一としながら短期間 （工期短縮率約70％）で完成させた応急 工事（仮道工）と、大規模な車線切替工事 （４段階に分けて施工）や、工事に伴い発生する約 3 19万m の残土を小名浜港へ運搬するなどの難工事となった本復旧工事について紹介する。 キーワード 地震，地すべり，災害復旧，応急工事，本復旧工事，大規模な車線切替 1. はじめに 県道いわき石川線は、｢ふくしま道づくりプラン｣の中 で、｢県全体（生活圏相互）で計画的に推進する地域連 携道路｣に位置づけられており、重要港湾小名浜港と県 県南・県中地域 いわき石川線 中・県南地域の物流拠点を連携する日交通量約９千台の の物流拠点 幹線道路であると共に、市内外の方々の通勤・通学・通 院のために欠かせない生活道路でもある。 （図-1） 東日本大震災の発生からちょうど１ケ月が経過した 4 月11 日（午後5 時16分）、内陸の活断層（井戸沢断層、 湯の岳断層）の活動を誘因とした最大震度６弱（M7）の 小名浜港 直下型地震がいわき市内を襲った。この地震により県道 いわき石川線で大規模地すべり災害が発生し通行止めと 図-1 福島県全体図 なり、翌12 日にも最大震度6 弱（M7）の地震が発生し、 被害を拡大させた。 （写真-1、図-2） 地すべりの発生位置は、震源地から約２０ｋｍ 離れた湯の岳断層の南側に位置する 至 いわき 頭部陥没帯 被災箇所 中央部陥没帯 下部陥没帯 至 石川 写真-1 被災状況 図-2 震源地と被災箇所の位置図 ① 2. 地すべりの変状状況と変状機構 (1) 地すべりの変状状況 地すべり移動体の規模は幅 280m、長さ 220m、最大厚 3 さ30m で、概略体積は約80 万m である。 特徴としては、頭部滑落崖付近に地すべり面の露頭 （鏡肌と条線）が確認されたことと、移動形態として陥 没帯幅が頭部 15m、中央部 35m、下部20m と各ブロック ③ ② の移動量にバラツキがあることがあげられる。 （図-3、写真-2、写真-3、写真-4） 図-3 変状状況