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博士-北海道大学
博 士 (工 学 ) 村 田 美 樹
学位論文題名
SynthesesofOrganometallicCompoundsofgroup13
and14ElementsbyTransitionMetal-Catalyzed
Carbon-IvIetalBond-FormlngReaCtionS
(遷移金属触媒による炭素―金属結合形成反応を用いた13族
および14族有機金属化合物の合成)
学位論文内容の要旨
近年有機合成において、種々の有機金属化合物が化学量論量、触媒量を問わず、広く利
用されている。これは、有機金属化合物を用いることにより高度の選択性が達成できたり、
従来多段階を要した合成反応が一段階で行えるなど、著しい利点があることが広く認めら
れてきたからである。特に、有機ホウ素化合物や有機ケイ素およびスズ化合物は、その高
い官能基選択性からファインケミカルに欠 くことのできない反応剤となっている。
従来、これら13族および14族有機金属化合物は、不飽和炭化水素への付加や他の有
機金属試薬との 卜ランスヌタル化などにより合成されている。しかしながら、有機リチウ
ム化合物やグリ二.ヤール試薬などの官能基の制約の多い有機金属試薬を経る方法では、多
官能性有機ホウ素化合物などを合成するのは難しい。近年有機合成には高次複雑な分子が
求められており、それに従い必要とされる有機金属化合物も複雑化している。したがって、
新規な13族および14族有機金属化合物の合成法の開発は重要な課題と考えられる。
本研究は、金属が互いに2個結合したジヌタル化合物や典型金属元素一水素結合を有す
る金属ヒドリドをメタル化剤とし、有機分子ヘ典型金属元素を直接導入する新規遷移金属
触媒反応に関するものである。有機ホウ素、ケイ素およびスズ化合物の簡便な合成を目的
とした。
本論文は10章で構成されている。
第1章では本研究の背景と目的について述べた。
第2章では、パラジウム触媒を用いたジボ口ンとハ口ゲン化アル←ルとのク口スカップ
リング反応にっいて述べた。塩基性条件下、ジボ口ンはホウ素求核剤として働き対応する
アリールホウ素化合物が一段階で得られる。従来の他の有機金属試薬を経る方法とくらべ
官能基選択性に優れた合成法となることを明らかとした。
第3章では、ジアルコキシボランを用いたハ口ゲン化アリールの新規ホウ素化について
述べた。パラジウム触媒と三級アミンの存在下、ホウ素原子がハ口ゲンを選択的に置換す
ることを明らかとした。これまでのパラジウム触媒によるホウ素化合物のカップリング反
応では、ホウ素上の有機基が求電子剤と結合を形成することが知られている。本反応では
水素化ホウ素化合物がヒドリドとしてではなくホウ素源として働いており、反応形式が従
来のカップリング反応とは異なる反応である。また、反応条件が穏和であり種々の官能基
を有するアリールホウ酸工ステルの合成法としても有用である。
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第4章では、ジアルコキシボランを用いたピニル型求電子剤のホウ素化にっいて述べた。
ピニル型求電子剤としてハ口ゲン化物の他に、ケトンから容易に得られるトリフルオ口メ
タンスルホン酸工ステルも利用できる。本手法は、これまで簡便な合成法がなかった環状
アル ケ ニ ル ホ ウ素化 合 物の有 用 な合 成法 となる こ とを明 らか と した。
第5章では、第3章および第4章で述べたジアルコキシポランを用いたホウ素化をアリ
ル型求電子剤に適用した結果にっいて述べた。アリール型ハロゲン化物などのホウ素化で
はパラジウム錯体が良好な結果を与えるが、ハロゲン化アリルではホウ素化体は全く得ら
れず、白金触媒が有効であることを明らかとした。本反応の位置および立体選択性は非常
に高く、塩化ク 口チルのホウ素化では、 (D一ク口チルポランのみが生成する。
第6章では、ヒド口シランを用いたハ口ゲン化アリールのバラジウム触媒シリル化反応
にっいて述べた。ヒドロシランもバラジウム触媒存在下で還元剤として働くことが知られ
ているが、ボランによるホウ素化と同様、適当なバラジウム触媒と三級アミンの存在下で
シリル化が進行し、対応するアリールケイ素化合物が得られるこ
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