―粘土基础讲座I―.PDF

粘土科学 第41巻 第1号26-33(2001) ―粘土基礎講座I― 粘 土基礎講座 Ｉワーキンググルーブ連載解脱 粘土の特性 と利用 佐 藤 努 金沢大学大学院自然科学研究科地球環境科学専攻 〒920-1192石川県金沢市角間町 Characteristics and Applications of Clays Tsutomu SATO Division of Global Environmental Science and Engineering, Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University Kakuma, Kanazawa, Ishikawa 920-1192 1.は じめ に いるので しょうか.本稿では,まず粘土の性質の源 となっ てい る粘土鉱物の物理 ・化学的性質 を紹介 し,それ らの 粘土 は,我々の生活す る地球表層環境系 において どこ 性質の発現機構 を解説す るとともに,粘土鉱物の特性 を にで もある身近な無機化合物の集合体です.粘 土を使 っ 活か した利用例 を紹介 します. た泥遊びや泥団子作 りは,誰 しもが持つ幼い頃の経験で しょう.また,多 くの読者 は小学校等で楽焼 きを作った 2.粘 土鉱物の特性 経験 も持 っていることで しょう.これ らの経験 を少 し思 い出 して ください.粘 土 と呼ばれ る土は,指先でこす り 化学進化 における粘土の役割 を提唱 したことで有名 な 合わせて も粒 がわか らない くらい滑 らかな微粉末で,水 バナール は,そ の著書 「ThePhysicalBasisofLife」 を加 えるとぬるぬるして,練 るといろいろな形 を自由に の中で,「起源 の研究 を通 じてのみ構造 と機能が理解 さ 作 ることができ,乾かす と固 くなって,焼 くとさらに固 れ,構 造 と機能が適切 に理解 されてのみ,そ れ らを利用 くなるとい う特徴 を持 っています.上 述のよ うな土の特 す ることがで きる」 と述べています.こ の基本理念は粘 徴 は,言 い代 えると(1)微細粒子であって,(2)水を含 んで 土鉱物 に限ったものではあ りませんが,や や もす ると利 いるときに粘性 と可塑性 を示 し,(3)焼成す ると固結す る 用が先行 しておろそかにされがちな材料の起源,構 造, 物質の3つ にまとめることができます.粘 土の性質は, 機能 を理解す ること,利用や応用 にもrationale(理論 粘土鉱物以外の無機物質,有機物質,交 換性陽イオンと 的解釈)が 不可欠であることを説 くものであ ります.粘 可溶性塩類 の組成,構 成粒子の組織 によって も変わ りま 土の様々な分野での利用や応用 を考案 し,新 しい応用分 すが,基本的には構成粘土鉱物の性質に支配 されています. 野 を開拓す る場合 も,粘土鉱物の生成,構 造,性 質の理 粘土 は我々に とってごく身近であ りふれた物質ではあ 解 が不可欠 なのです.こ こでは,バ ナールの基本理念 に りますが,上述のように他の物質にはない珍 しい特性 を したがって,