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04楠山正雄-猿かに合戦
經典日本文學有聲故事集:楠山正雄-猿かに合戦
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猿かに合戦
楠山正雄
一
むかし、むかし、あるところに、猿(さる)とかにがありました。
ある日猿(さる)とかにはお天気(てんき)がいいので、連(つ)れだって遊(あそ)びに出ました。その途中(とちゅう)、山道(やまみち)で猿(さる)は柿(かき)の種(たね)を拾(ひろ)いました。またしばらく行(い)くと、川(かわ)のそばでかにはおむすびを拾(ひろ)いました。かには、「こんないいものを拾(ひろ)った。」
と言(い)って猿(さる)に見(み)せますと、猿(さる)も、「わたしだってこんないいものを拾(ひろ)った。」
と言(い)って、柿(かき)の種(たね)を見(み)せました。けれど猿(さる)はほんとうはおむすびがほしくってならないものですから、かにに向(む)かって、「どうだ、この柿(かき)の種(たね)と取(と)りかえっこをしないか。」
と言(い)いました。
「でもおむすびの方(ほう)が大きいじゃないか。」
とかには言(い)いました。
「でも柿(かき)の種(たね)は、まけば芽(め)が出て木になって、おいしい実(み)がなるよ。」
と猿(さる)は言(い)いました。そう言(い)われるとかにも種(たね)がほしくなって、「それもそうだなあ。」
と言(い)いながら、とうとう大きなおむすびと、小さな柿(かき)の種(たね)とを取(と)りかえてしまいました。猿(さる)はうまくかにをだましておむすびをもらうと、見(み)せびらかしながらうまそうにむしゃむしゃ食(た)べて、「さようなら、かにさん、ごちそうさま。」
と言(い)って、のそのそ自分(じぶん)のうちへ帰(かえ)っていきました。
二
かには柿(かき)の種(たね)をさっそくお庭(にわ)にまきました。そして、「早(はや)く芽(め)を出(だ)せ、柿(かき)の種(たね)。
出(だ)さぬと、はさみでちょん切(ぎ)るぞ。」
と言(い)いました。すると間(ま)もなく、かわいらしい芽(め)がにょきんと出ました。
かにはその芽(め)に向(む)かって毎日(まいにち)、「早(はや)く木になれ、柿(かき)の芽(め)よ。
ならぬと、はさみでちょん切(ぎ)るぞ。」
と言(い)いました。すると柿(かき)の芽(め)はずんずんのびて、大きな木になって、枝(えだ)が出て、葉(は)が茂(しげ)って、やがて花(はな)が咲(さ)きました。
かにはこんどはその木に向(む)かって毎日(まいにち)、「早(はや)く実(み)がなれ、柿(かき)の木よ。
ならぬと、はさみでちょん切(ぎ)るぞ。」
と言(い)いました。すると間(ま)もなく柿(かき)の木にはたくさん実(み)がなって、ずんずん赤(あか)くなりました。それを下からかには見上(みあ)げて、「うまそうだなあ。早(はや)く一つ食(
た)べてみたい。」
といって、手(て)をのばしましたが、背(せい)がひくくってとどきません。こんどは木の上に登(のぼ)ろうとしましたが、横(よこ)ばいですからいくら登(のぼ)っても登(のぼ)っても落(お)ちてしまいます。とうとうかにもあきらめて、それでも毎日(まいにち)、くやしそうに下からながめていました。
するとある日猿(さる)が来(き)て、鈴(すず)なりになっている柿(かき)を見上(みあ)げてよだれをたらしました。そしてこんなにりっぱな実(み)がなるなら、おむすびと取(と)りかえっこをするのではなかったと思(おも)いました。それを見(み)てかには、「猿(さる)さん、ながめていないで、登(のぼ)って取(と)ってくれないか。お礼(れい)には柿(かき)を少(すこ)し上(あ)げるよ。」
と言(い)いました。猿(さる)は、「しめた。」
と言(い)わないばかりの顔(かお)をして、「よしよし、取(と)って上(あ)げるから待(ま)っておいで。」
と言(い)いながら、するする木の上に登(のぼ)っていきました。そして枝(えだ)と枝(えだ)との間(あいだ)にゆっくり腰(こし)をかけて、まず一つ、うまそうな赤(あか)い柿(かき)をもいで、わざと、「どうもおいしい柿(かき)だ。」と言(い)い言(い)い、むしゃむしゃ食(た)べはじめました。かにはうらやましそうに下でながめていましたが、「おい、おい、自分(じぶん)ばかり食(た)べないで、早(はや)くここへもほうっておくれよ。」
と言(い)いますと、猿(さる)は、「よし、よし。」と言(い)いながら、わざと青(あお)い柿(かき)をもいでほうり出(だ)しました。かにはあわてて拾(ひろ)って食(た)べてみますと、それはしぶくって口がまがりそうでした。かにが、「これこれ、こんなしぶいのは
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