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大成建設技術センター報 第37号(2004) 電磁レーダによるＴＢＭ切羽前方探査システム －岩盤を見通す電波の眼－ ＊１ ＊１ 今井 博 ・八木下 修満 Keywords : electro-magnetic wave, tunnel face, geological fore-search, fracture zone, reflection method 電磁波，トンネル切羽，地質前方探査，破砕帯，反射法 1. はじめに 土壌や軟岩掘削では泥水などを用いて掘削を行う泥水 型密閉シールドなどをシールドマシンと呼び、地下鉄工 トンネルを掘削する工法は、場所、岩質、トンネルの 事などで採用される。掘削方法は、後方のセグメントに 大きさなどにより選択される。切羽観察による地質調査 反力をとって地盤にカッター面を押しつけながら面盤を ができる NATM や削岩機などによる工法では、先進ボ 回転させ、カッターで地山を削りながら掘削する方法で ーリングなどの調査と併せてある程度の前方の地質が予 ある。このシールドマシンに電磁レーダを装着して、掘 測できる。また、TSP １）、2)や HS 調査法などのダイナマ 削予定断面内の杭やライフラインの検知、地質変化の検 3 4) 5 イトやそれ相当の振源 ）、 、 ）を用いた弾性波調査法が 出を実施した例があるが、成果の報告は見られない。 あり、100ｍを越える切羽前方調査も行える。 一方、山岳トンネルのように硬岩地山を掘削するオー しかしながら、トンネルの全断面を掘削する機械掘削 プンタイプの掘削機があり、狭い意味での TBM がこれ 工法の場合は、掘削機が切羽を占有し、地質調査を直接 ある。標準的な TBM による掘削方法は、側壁にメイン 行う機会はほとんど無く、調査は全断面掘削機が停止し グリッパーで押しつけて反力をとり、岩盤にカッターを ている場合にカッターの隙間から観察する程度に留まる。 押しつけ、壊しながら掘削する方法である。写真-1 に、 また、TSP や HSP 調査法を実施する場合は掘削機の後 Ａトンネルを掘削するために製作されたTBM を示す。 方からとなり、しかも、爆薬を使用して行う場合は、爆 硬岩掘削機として直径 12.84ｍの大きさは世界 1 位で、 薬使用の手続き、火薬庫の設営、火薬取り扱いの資格者 しかも、面盤に電磁レーダを搭載した例はまだ無い。写 や火薬の管理者が必要となり面倒である。したがって、 真-1 で矢印で示した部分は、搭載した電磁レーダのア 全断面掘削機を用いたトンネルの掘削では、施工工程で、 ンテナ設置部であり、その中心は面盤の中心から 4.9ｍ 十分な切羽付近の地質調査が出来ない場合が多い。 の位置である。面盤の回転方向は写真-1 で時計周り方 本研究は、硬岩掘削機である TBM 工法において、切 羽前方 20ｍ程度までの地山を連