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家具小売業 業界は需要不振の状況にあり、値下げ競争が激化している。この影響で、大型店が顧客数と売上げを伸ばす一方、中小小売店の多くは売上げが低迷している。構造的な要因もあり売上げ回復の目途はたっていないが、アウトレット商品の販売、きめ細かい接客、家具を含む生活用品全般の提案販売に特徴を持つ中小小売店の業績は、比較的好調である。また、業界の活性化に向けて、広域の企業ネットワークを構築し、人材育成と新たな需要創造に取り組む動きもみられる。 商品と業界の概要 家具は、衣食住に密着した道具で、収納とインテリアの機能を併せ持つ商品である。主な材質は、①広葉樹や針葉樹などの木材や合板、②金属、③プラスチック、④籐などで、形状で分類すると、①箱物家具（たんす、棚物、鏡台等）、②脚物家具（いす、テーブル、机等）、③ベッド、④特注家具（公共?民間建物や学校用の家具等）、⑤小物家具（傘立て、帽子掛け等）に分類される。このほか、発祥地別では和家具と洋家具に、用途別では家庭用と事務用に分類できる。事務用家具は、メーカーが直接または販売会社経由で販売しているので、ここでは、主に家庭用の家具小売業についてみていく。 家具小売業の営業形態には、家具小売専業のほか、卸小売兼業、製造小売兼業があるが、現在は、工房を併設する小規模な企業を除き、小売専業の企業がほとんどである。オレンジストリートの愛称で親しまれる大阪市西区の立花通や、スマイルロードの愛称で親しまれる枚方家具団地といった集積地には、かつては製造小売業が存在したが、海外生産品の流入や後継者不足などの理由により、小売専業への転換が進むほか、廃業に至る企業もある。また近年は、大型店のほか、アウトレット店、ディスカウント店、ホームセンター、住宅?住設機器メーカー、通信販売業といった異業種企業の参入が一般化した。また、ファブリック（カーテンなどの布地 今後の見通し 業界の経営環境は厳しく、中小小売店では15～20％程度減収減益の企業が多く、赤字に陥る企業もある。このため、企業の多くは、明確な将来展望を描き、具体的な経営改善策に取り組むことが難しい状況である。今後、高級品や付加価値の高い商品と低価格品に対する需要の二極化が進むことが予想される。そして、大型店と店舗の活性化に積極的に取り組む中小小売店が、業界の牽引役になると考えられる。新たな事業展開を目指す中小小売店には、家具のほか生活用品全般を含めた具体的な商品提案力を持ち、顧客一人ひとりに対してきめ細かい接客を実践し、顧客に新しい居住空間を気付かせるような業態を目指すことが求められる。また、商品の性格や購買者の属性等を考えると、販売担当の女性従業員を重点的に育成することも有効でないかと考えられる。 （天野　敏昭） - 6 -