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人間性の美を見る 　　　　　　　　 ——芥川作品『蜜柑』を通して 序論 芥川龍之介の『蜜柑』を初めて読んだのは高校生の時だった。しかし、その時、この小説の作者は誰だか分からなかった。が、『蜜柑』という小説は深い印象を与えてくれた。　　　　 幸いに大学で日本文学史の授業を通じて、たくさんの日本文学作品と作家たちに触れ会ってきた。それゆえに、『蜜柑』は芥川の作品だとはじめて知った。 人間の生き苦しさと精神の孤独ということは芥川作品の永遠のテーマだとよく言われているが、確かに芥川が人間のエゴイズムについては深く理解し、様々な題材を利用して、それを掘り出した。周知されたように、『羅生門』と『鼻』はそういうような代表的な作品であろう。まとめて言えば、当時社会の下品な雰囲気を。（筆者訳）つまり、『蜜柑』から、芥川作品の中で珍しく人間性の美を提唱する主題が見つかる。「小娘」のひたすらに弟を愛する真剣な姿が人の心を蜜柑、に涙を誘作品。小説及び小品文、随筆、評論、詩歌など「芥川賞」今昔物語集』、『宇治拾遺物語』などの昔話から取材して創作した作品が多い。例えば、『羅生門』や『芋粥』や『地獄変』などがその中の有名な作品である。 晩期、罪悪社会に対して不満な感じを抱いたと思っていたらしい。「芥川は「僕はエゴイズムを離れた愛の存在を疑う、僕自身にも、エゴイズムのない愛がないとすれば、人の一生ほど苦しいものはない」」と言ったことがあるから。 しかし、「その後関東大震災によって社会が不穏な状況になってしまった。二十年代の末期、日本社会中の階級闘争も一層激しくなった。そして十月革命の後、プロレタリア文学も台頭しはじめた。社会の暗い現実を見つめた芥川は強く不安になった。その頃から、芥川はやむをえず社会の暗い現実に直面せざるを得なくなった。だから、現実社会でのそういう緊張さや重苦しい雰囲気に抑圧された芥川が暗黒現実の描写を主題としての創作に転換しはじめた。」従って、資本主義社会の醜い現実を彼の作品中に表せざるを得ない。 『蜜柑』はその現実題材を描写した作品中の一つの典型だと思う。「この小説は作者自分自身の経験と感想に基づいて、綿密な構想によって,登場人物,事件などを入念して、精巧に脚色して,人間社会の一面を鮮明に表現した作品である。」『蜜柑』は芥川の作家生涯の新しい試みであろうと認められている。 確かに、『蜜柑』を読んだ後、この小説は現実の醜い現象を批判することではなく、人間性の美を提唱するという主題にして創作されたものだと思う。 　　『蜜柑』についての先行研究 『蜜柑』という小説は短くて、筋も簡単だが、その中で書いたことは普通の人間の素朴で真実な人間性の美が感じられた。「堀辰雄は『蜜柑』は「非常に微妙な、鮮やかな効果を持っている」し、「好個の短篇である」と言っている」。「川端俊英も、『蜜柑』は「聊かも表現に無駄のない」し、あたかもチェホフの「真珠のやうな愛すべき作品」だと述べている。」 「小娘」は社会のどんぞこで暮らしても、自分の生き方で積極的に生きていくはずだ。芥川が「小娘」の自由な生き方を羨んでいるばかりではなく、「小娘」の身振りから人間性の美を発見したし、人間性の愛を感じた。だから、作家宇野浩二はこう思っている：「『蜜柑』は芥川の見聞で書いた小説であり、「寂静」中の豊富な精神が表されている。」（筆者訳） 『蜜柑』中のあっというまの感動と美がずっと文学評論家の目を引いた。海老井英次教授が「あっという間の美を捕まえた。もし、この一瞬の美と一瞬の感動がなければ、『蜜柑』の成立ができない。」（筆者訳）と語っている。評論家たちは、この小説は芥川が生活に対する新しい信念だと思って、彼はそれをきっかけにして現実の生活の中で自然で真実的に存在する人間性の美を探し始めたと考えている。皆も『蜜柑』が優れた表現と構成を持つ魅力的な作品であることを認めている。つまり、『蜜柑』は重々しい芥川文学に鮮やかな異彩を加えた光だと思う。 第四章　　『蜜柑』についての分析 第一節：『蜜柑』の粗筋 「『蜜柑』この物語はある曇った冬の日暮れで発生したのことである。この作品は叙景的に描かれているのであって、とは一片の言葉も交してはなただがのふるまいを仔細に観察していただけなのであ この小説は中の「退屈と倦怠を感じた「私」はつまり、芥川龍之介の身代わりだと思う。」彼が『蜜柑』中の主人公「私」の描写を通じて、自分の内心世界の矛盾と未来に対しての不安を表したがると思う。だから、『蜜柑』を通して、芥川個人ののときのぼんやりとした不安心理状態 第二節：登場人物の分析 1．「私」 『蜜柑』は第一人称の「私」の視線で見たことを通して、書かれた小説である。冒頭で、「私の頭の中には云いようのない疲労ととが、まる