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大学生は絵本「フレデリック」をどう読んだか 107 調査報告 大学生は絵本 「フレデリック」をどう読んだか 大　滝　まり子 ’ “ ” About the Students Essays on the Picture Book : Frederick OTAKI Mariko の講義時間の終わりに，「フレデリック」（レオ １　問題の所在 ＝レオニ作）を読むことにした。「フレデリック」 　筆者は，札幌市内の４年制大学で，幼稚園教 は「ちょっと　かわった　のねずみの　はなし」 諭の免許状に関わる科目「幼児指導法」を教え と副題がついている。 ており，その講義時間の終わりに時々絵本を読 　この本を読んだのは「集団と個」という章を む。読む絵本はその時間の講義内容に必ずしも 終えたときであったが，講義内容と「フレデリッ 関連したものではないが，幼児教育に携わる学 ク」を結びつける話は一切していない。この場 生に知っておいてほしい絵本を選んでいる。 合，学生は絵本のメッセージとして，何を見出 　読んだときには絵本の感想を書いてもらうの し，どのように評価するのだろうか。果たして であるが，もちろん，学生たちが筆者と同じ感 講義内容は，この感想に影響を与えたのだろう 想を持つとは限らない。それどころか，「何を か。 言いたいのかわからない」という感想に出会う こともよくある。学生たちが１冊の絵本から読 ２　調査方法 み取るメッセージは，各人の人生観，価値観の フィルターを通して実にさまざまであるし，絵 （１）対象　幼稚園教諭免許取得のために「幼 本にどれだけ親しんできたかによっても異なる 児指導法」を選択している大学生１年目 ようである。しかし，どのような感想を抱くに から５年目までの53名（女子35名　男子 しても，その根底にほぼ共通しているのは，「絵 18名） 本には子どもへのメッセージがあるはずだ」と 文中では　１年男子，５年女子などと表 いう考えである。 記。 　今学期も何冊か紹介してきたが，11月16日 （２）方法　「今日は『フレデリック』という絵 108 北海道文教大学研究紀要　第30号　2006 本を読みます。最後に感想をできるだけ 　フレデリックは，目を閉じてごらん，と話し たくさん書いてください」と言って，A 始める。４匹は彼のことばで夏の風景を思い描 ５の紙を配布した。　 く。なんだかあたたかくなってきた。次にフレ 　子どもたちに絵本を読むのと同じく，絵本を デリックは詩を披露する。４匹は拍手喝采し， 見せて読み進めた。読む速度（各ページを見る フレデリックを詩人だという。彼は「そういう 時間と絵本の中の詩の読み方）は，子どもに読 　わけさ」とはずかしそうに言う。 むときよりも，少し早めであった。読み終えた 後10分くらいで感想文を回収した。 ３　結果と考察 　次に，上記の自由