有机金属化学入门.PDF

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有机金属化学入门

Organometallic Chemistry 有機金属化学入門 Introduction of Organometallic Chemistry Tomoaki Tanase Nara Women’s University Organometallic Chemistry 1.有機金属化合物とは Organometallic Compounds (Complexes) Organometallic Chemistry 1有機金属化合物とは 有機金属化合物とは Hard Acid Hard Base Zeise塩 [PtCl (C H )]- やテトラカルボニル 3 2 4 M L ニッケル(0) [Ni(CO) ] などいくつかの金属−炭 4 素結合をもつ化合物は既に19世紀に合成され ていたが、いわゆる有機金属化学が飛躍的に 発展を遂げたのは1951年のFischerとWilkinson によるフェロセン [Fe(C H ) ] の発見以降であ 5 5 2 る(二人は 1973年にノーベル化学賞を受賞し た)。 有機金属化合物 (Organometallic Compound) とは、厳密には金属−炭素結合を含む化合物で あるが(シアノ錯体は除く)、最近では、配位子と してPやSなど分極しやすいソフトな配位子(HS AB理論参照)をもつものや、金属としてソフトな ルイス酸である典型元素を含むものなどをも意 味する場合が多い。また,低酸化状態の金属ク ラスターなども含まれる。 有機金属化学(Organometallic Chemistry)で は、これまでになかった概念の様々な金属−炭 素結合様式や数多くの有機素反応の概念が一 挙に明らかとなり、中には工業触媒として実用 化されている化合物もある。この分野の飛躍的 発展は、化学者の新しいものへの好奇心はもと Soft Acid Soft Base より、X線結晶構造解析やNMR分光法など最先 端の物理的分析手法の発展とあいまったもので M L ある。また、分子軌道法による電子状態の解析 は多種多様な現象を体系的にとらえるうえで大 いに威力を発揮した。基本的な法則・理論およ <最も基本的な定義> び電子状態をもとに体系的に考える力を養って いただきたい。 金属ー炭素結合を持つ化合物 Organometallic Chemistry 1有機金属化合物とは 夜明け前(1950年以前) ずいぶん古くから有機金属化合物は知られていたが,実際にどのような構造なのかはわからず,統一的な理解はされてい なかった。 金属オレフィン結合

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