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新撰組 ～ 近藤勇と多摩 ～ 1 序章 このテーマを選んだ理由 僕は小学校三年のときに、当時やっていた通信教育の付録としてついていた読み物で、初めて日本の歴 史を知った。それ以来僕はずっと日本の歴史が大好きで、中でも源平合戦、南北朝の動乱、戦国時代、そし て今回テーマとして選んだ新撰組が活躍する幕末など、次代の境目となる動乱の時代が大好きだった。 また、新撰組は近年のＮＨＫ大河ドラマに取り上げられたこともあって僕の関心がさらに高まった。そこで 僕は、新撰組についてもっと知りたいと思い、何冊か新撰組に関する本を読んでみた。そして読んでいくうち に新撰組のことが少しずつではあるが分かってきた。実は新撰組はみんなが同じような考えをもっていたの ではなく、純粋に尊皇攘夷の志をもって新撰組に入ったもの、武士になりたくて組に入ったもの、金が目当 てで組に入ったもの、長州藩の間者として組に入ったもの、本当にいろいろな隊士達がいたことがわかった。 僕はその中で、最後の最後まで徳川幕府のために戦い、そして散っていった局長の近藤勇、副長の土方歳 三たち、武蔵国多摩地方出身者について特に関心を持った。そして、旧幕府軍が絶望的な状況になっても、 死ぬまで徳川家のために戦って、徳川幕府に忠節を尽くした彼らと彼らの出身地武蔵国多摩地方とは何か 関係があるのだろうかと思った。また、多摩という土地には何か秘密があるのだろうかと思った。そこで、近 藤勇、土方歳三と多摩地方の関係について調べてみることにした。 第１章 新撰組の概略 ここではまず、新撰組とはどういうもので、どのようなことをしたのかについて話しておきたいと思う。 新撰組はもともと京都に上洛する将軍の警護のため、清川八郎や、山岡鉄舟が提案し、実現した浪士組 であった。浪士組の中では近藤達試衛館一派は平隊士であった。京都についた浪士組は清川の策略によ り幕府に反旗を翻した。あわてた幕府の役人はとりあえず浪士組を江戸に戻すことにした。 しかしこれに反対して京都に残った者たちがいた。近藤達試衛館一派と、芹沢鴨率いる水戸一派である。 彼ら総勢十三人は壬生浪士組と名乗り京の壬生村に駐屯した。始めは近藤勇はトップの人間ではなく、筆 頭局長芹沢鴨、あと二人の局長に、近藤勇と水戸派の新見錦がいた（新見は後に副長に降格）。彼らは京 都守護職の会津藩主松平容保公の御預かりとなって行動を開始した。そして、八月十八日の政変の手柄に より会津藩主松平容保公より新撰組という隊名をいただいた。ここに新撰組が誕生した。 松平容保公は、近藤や土方を呼び芹沢を暗殺せよとの密命を下したといわれている。そして文久三年九 月十八日、遂に芹沢暗殺計画は実行に移された。この日新撰組は、島原の角屋を借り切って宴会を開いた。 近藤、土方ら試衛館派の人々が芹沢に酒を勧めて酔わせた。泥酔した芹沢を腹心の平山五郎と平間重助 が抱えて屯所に戻った。そして泥酔して寝ているところに土方や沖田らが忍び込み芹沢を暗殺し、平山五郎 も一緒に殺された。こうして近藤はただ一人の局長として新撰組の実験を握ることになった。 文久四年六月五日、新撰組は以前から「不逞浪士と関係があるのではないか」といわれていた杵屋を襲う。 そこで捕えた古高俊太郎に拷問をかけた。すると古高の口から浪士たちによる京都に火をかけその混乱に 乗じて天皇を長州に連れ去るという計画がもれた。その晩、新撰組は浪士たちが会合を開いている宿を探 し、遂に彼らが池田屋にいることを知る。近藤たち数人は池田屋に討ち入り、浪士たちと二時間に及ぶ激闘 2 を繰り広げた。こうして京都の地を守った新撰組は一躍有名になった。 その後も新撰組は禁門の変などで活躍したが、途中から加わった伊東甲子太郎が、御陵衛士となって隊 を抜けることとなり隊内に動揺が走る。そんな中、幕府から近藤たち新撰組を幕府の直参にする話が持ち かけられる。新撰組はその話を受けることにする。これによって新撰組の佐幕姿勢が明確になった。それに 対して伊東は倒幕の姿勢を示していたので両者ははっきりと対立することになり、油小路の変へと続いてい くことになる。その後も新撰組は幕府への忠節を貫き、鳥羽伏見では多数の死傷者を出しながらも奮戦し、 土方が函館で戦死するまで幕府のために戦いつづけた。 新撰組略年表 文久三年（１８６３） ０２／０３ 浪士組京都につく ０３／１２近藤ら京都守護