大気环境学会伦理纲领解说.pdf

大気環境学会倫理綱領についての解説 大気環境学会倫理綱領検討委員会 われ、団体として対応した最初であろう。 平成 16 年(2004)年 10 月21 日(木)の第45 回大気環境学会総 会において本学会倫理綱領(案)が可決制定された。これに関連 他方、東西対立の中に科学者の平和活動の中から科学者の して翌 22 日午前に学会倫理綱領に関する特別集会が持たれて 権利と責任について論議が深まり、1948 年世界科学者連盟が、 本学会における倫理綱領制定の意義と経過、さらに今後の学会 また、1949 年に国際学術連合会議がそれぞれ「科学者憲章」を および会員の取り組みについて活発な討論が行われた。 定め、1974 年にユネスコ第 18 回総会で「科学者の地位に関す 本稿はその集会に参加した一会員の提言にもとづいてこの倫 る勧告」が採択された。この精神と内容を具現化するために日 理綱領の持つ意義と各会員諸兄姉に関連する問題を解説する 本学術会議は 1980 年にわが国の「科学者憲章」を発表してい こととしたものである。 る。 しかしながら、この「科学者憲章」はあまりに原則的抽象的で 1. はじめに あったために研究者の間では十分に知られることなく過ぎ、倫理 学問の分野における学会組織の成立は、 1660 年の Royal といえば、政治倫理(ロッキード事件、リクルート事件など)が中 Society の設立に始まるが、これは同学の士が互いに研究成果 心的話題であった。 を披露しあい自然科学の知識の普及につとめるものであった。 一方、1960 年代末から起こった大学紛争は、一面では現代科 現代の学会組織は、単に同学の士の友好の目的だけのもので 学技術体制の中での科学技術者の倫理的責任を問うものであ はなくなり、専門を同じくする職業人の団体としての意味を持っ ったがその側面は研究者の側には十分に意識されないままで にいたっている。そしてさらに、最近では、科学技術の社会に対 あり、ましてや、学問の自由の場としての学会の社会的倫理的 する影響が大きくなっていることから、学会も社会性と公共性を 責務は問われることがないままに倫理は個人的問題のままであ もち、その社会的機能の一般人や地球環境に対する責務が内 った。 外で明らかであること(Acoutability)が要求されるようになって 1990 年代になってわが国で倫理が問われるようになったの きた。これが、近年科学技術者の倫理が問題とされ、学会での は、地球環境問題が問われ、環境ホルモンや水俣病事件の最 倫理綱領が制定される背景である。従って、研究者は自分のた 終判決など、さらに、バルディーズ号の重油流失責任を問うセリ めだけの研究をしているのではなく、意識するしないかに関わり ーズ原則の話題とグローバル化の圧力によってまず企業倫理 なく、社会からの責務への問いに応えなければならないのであ が取り上げられ、これにひきずられて関係学協会の倫理綱領制 る。 定、改訂が行われるようになったと考えられる。 このようにすでに現代では、学会倫理綱領は、学会員のうちの この事態はきわめて他動的であるが、恥ずべきものでは決し これに関心あるものがつくり、崇高な目的を目指す装飾であって てなく、わが国における社会的責任=公共性の認識の進歩と捉 守りたいものだけが守り、そうでないものは関係ないという個人 えるべきであろう。それ以降、工学系 13 学会、医学系 7 学会、 的問