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環境保全型かんがい排水事業における 肥培かんがい施設整備の効果について ―第三報― 釧路開発建設部 根室中部農業開発事業所 大木 直也 羽生 哲也 相澤 俊也 我が国を代表する大規模酪農地帯である別海町では、国営環境保全型かんがい排水事業の実 施によって適正なかんがいが行われ、ふん尿の効率的な利活用が可能となり、土地生産性の向 19 上と併せて、地域環境への負荷軽減を図っている。平成 年度より実施している別海南部地区 での肥培かんがい施設整備効果調査において、同一施設、ほ場でのかんがいの効果検証の結果、 スラリーの腐熟化および牧草生産向上効果が発現したとともに、多目的効果として雑草種子発 芽抑制効果が明らかとなった。 キーワード：環境保全型かんがい排水事業、肥培かんがい施設、家畜ふん尿、 かんがい用水量、雑草種子 1. はじめに 2. 肥培かんがいシステムの概要 -2 別海町(図-1)は、北海道の東部に位置し、冷涼な気象 図 に別海南部地区で整備・導入している肥培かんが 条件と広大な土地資源を背景として、昭和 30 年代から い施設の概要を示す。共同ブロック内の複数の牛舎から 160L/ /ha 国家プロジェクトにより酪農基盤が整備され、現在では 排出されたふん尿は、流入口で 日 の水が加水さ 3 我が国を代表する大規模酪農地帯として発展してきた。 れ約 倍の希釈倍率とされ、一つの調整槽へ圧送ポンプ ( ) しかし、用水施設においては、乳牛の飼養頭数の増加等 により搬送される。この搬送されたふん尿 スラリー は、 の経営規模拡大に伴って、かんがい用水の水需要が短時 ブロアポンプによって曝気･撹拌された後、竪型スラリ 間に集中することにより、用水不足が生じ、適正なかん ーポンプで配水調整槽へ移送される。配水調整槽に貯留 がいが行えない状況となっている。また、降雨時には、 されたスラリーは、スラリータンカーでほ場に散布する。 農用地等から流出する土砂及び肥料成分等により、河川、 圧送ポンプ 湖などの水質悪化が懸念される状況にある。そのため、 ブロアポンプ 国営環境保全型かんがい排水事業では、用水不足を解消 牛舎 希釈(3倍) 消泡機 配水調整槽 B し土地生産性の向上を図るとともに、併せて地域環境へ プロペラ攪拌機 の負荷軽減を目的として肥培かんがい施設の